2022年の化学・医薬品生産高は約1割減、2023年も減少の見込み

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年12月28日

ドイツ化学工業会(VCI)は12月15日、2022年の化学・医薬品生産高と2023年の見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。併せて、11月に実施した会員企業アンケートの結果も公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

VCIは2022年の化学・医薬品生産高を前年比マイナス6%とした。医薬品を除く化学製品に限定するとマイナス10%で、これは世界金融危機の影響を受けた2009年以来の大きな落ち込みとなる。前述の会員企業アンケート調査(153社が回答)では、エネルギーなど危機への対応として、39%が「生産縮小」と回答している。

他方、2022年の化学・医薬品売上高は、前年比約17.5%増の2,665億ユーロだった。ただし、VCIによると、この売り上げ増は物価上昇によるもので、数量ベースでは減少したという。上記アンケート調査でも、危機が収益状況に与えた影響について、「減益」と回答した企業は55%、「損失または倒産の危機」は24%に上る。また、原材料などのコスト増を売価に転嫁できた企業は35%にとどまり、「ほとんど転嫁できない」が35%、「半分程度」が29%だった。VCIは需要減や競争激化により、コスト増を価格に転嫁できない状況としている。

VCIは2023年の見通しについて、生産高は前年比で大きく落ち込むとし、具体的な数値を示していない。(1)受注減、(2)サプライチェーンの混乱、(3)エネルギー価格の高騰などがその要因。2023年は売上高も前年比で減少すると見込んでいる。なお、上記アンケート結果では、2023年の売上高見通しについて、ドイツ国内は「増加」が26%、「減少」が58%なのに対し、欧州域外では「増加」が31%、「減少」が33%とほぼ拮抗(きっこう)している。

アンケートでは、企業が抱える課題(複数回答)として、回答企業の88%が「原材料の価格上昇」、67%が「エネルギー価格の高騰」を挙げた。2022年6月実施の前回アンケート(それぞれ89%、70%)に近い、高い水準にとどまっている。他方、「物流の問題」は前回の51%から23%に、「原材料の不足」は前回の50%から37%に大きく減少した。化学・医薬品業界のサプライチェーンの課題は、この半年で改善したと推測できる。

(高塚一)

(ドイツ)

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