米エクソンが5カ年経営計画を発表、低炭素事業への投資を大幅拡大へ

(米国)

ヒューストン発

2022年12月09日

米国石油大手のエクソンモービル(本社:テキサス州アービング)は12月8日、二酸化炭素(CO2)の排出削減を目的とした投資を大幅に拡大し、低炭素ソリューション事業を含む付加価値の高い低炭素イニシアチブを立ち上げる5カ年計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

設備投資費は年間200億~250億ドルとするほか、高リターンで低コストのプロジェクトに投資することで、上流部門の収益は2027年までに2019年比で倍増するとしている。同設備投資費の7割以上は、米国パーミアン盆地でのシェール石油・ガス開発、ガイアナおよびブラジルでの海洋石油・ガス開発、そして世界各地の液化天然ガス(LNG)プロジェクトに充てられる予定だ。

また、自社のCO2削減および第三者による低炭素イニシアチブに約170億ドルが投資される予定で、これは従来の計画に比べ約15%の増加となる。このうち約4割は温室効果ガス(GHG)の排出削減に寄与するCO2の回収・貯留(CCS)やバイオ燃料、水素に関連する事業に向けられる。さらに、300億ドルの自社株買いプログラムを拡大し、2024年まで500億ドルにするとしている。

エクソンモービルのダレン・ウッズ会長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれは、社会が必要とするエネルギーと製品を生産し、当社および他社のGHG排出削減のリーダーであるという両方を実現することを、成功と捉えている。本日発表した経営計画は、この考えを反映したものであり、今日までの結果は、われわれが正しい道を歩んでいることを示している」と述べた。

なお、ジョー・バイデン大統領は2022年10月に、エクソンモービルの高収益を受けてツイートを投稿し「こんなことを言うのは何だが、株主に利益を還元することと、米国の家庭のために(ガソリン)価格を下げることは同じではない」との批判を展開している(2022年10月31日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国)

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