フック国家主席が訪韓、韓国財閥は拡張投資を表明
(ベトナム、韓国)
ハノイ発
2022年12月13日
ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席は韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の招待を受け、12月4~6日の日程で韓国を公式訪問した(2022年12月7日記事参照)。5日の首脳会談後、包括的戦略的パートナーシップに関する共同声明を発表。2国間貿易額(注)を2023年までに1,000億ドルに引き上げ、2030年までには1,500億ドルに達する目標を示した。
6日には越韓ビジネスフォーラムが開かれ、両国の政府や企業関係者500人以上が参加した。フック国家主席は講演で「ベトナムはデジタル経済の変革やグリーン成長、科学技術開発などに焦点を当て、グローバルサプライチェーンに参画していく」と話した。韓国側の代表を務めた秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副総理兼企画財政部長は、スマートシティーや情報通信技術(ICT)、再生可能エネルギー、環境インフラの分野でベトナムと技術や人材交流を促進すると表明した。
フォーラムでは、フック国家主席とチュ副総理が立ち会いの下で15件、総額150億ドル相当の企業プロジェクトなどの覚書(MOU)交換式も行われた。
サムスン、LGが新たな投資表明
フック国家主席は訪韓中に韓国の企業関係者延べ30人と計12回の会談を行った。その中で、サムスン電子はベトナムへの累計投資額を180億ドルから200億ドルに引き上げると表明した。韓宗熙(ハン・ジョンヒ)副会長は、年内にハノイ市内に開設予定のR&Dセンターを通じて人材を育成し、人工知能(AI)やビッグデータの研究を促進する計画を伝えた。2021年のサムスン電子製品のベトナムからの全世界向け輸出額は655億ドルで、ベトナムの輸出総額の約2割を占める。フック国家主席は同社に対して、裾野産業や新技術分野などでのベトナムへの投資継続を要望した。
LGグループの権峰奭(クォン・ボンソク)副会長は、ベトナムに40億ドルの追加投資をする考えを明らかにした。新工場建設のほか、研究やソフトウエア開発に注力する。人材育成のため、ベトナム北部の大学との提携も強化する意向を示した。
また、現代自動車の張在勲(チャン・ジェフン)社長は、ベトナムでの電気自動車(EV)への投資を拡大すると述べた。同社は地場複合企業タインコンと合弁で2022年11月、北部ニンビン省の第2工場を稼働しており、早ければ2023年にもEVの生産を計画している。
そのほか、フック国家主席はCJグループ、大宇建設、ロッテグループとも会談をした。
(注)2021年のベトナムと韓国の2国間貿易額は約783億ドル。
(萩原遼太朗)
(ベトナム、韓国)
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