山東省、先進的な製造業の発展に向けた計画を発表

(中国)

青島発

2022年12月02日

中国・山東省では1111日、「先進製造業の強い省実現に向けた行動計画(2022年~2025年)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、行動計画)が発表され、1118日に山東省工業・情報化庁は行動計画に関する記者会見を開いた。

同会見において、山東省の製造業が近年急速に発展していることが述べられた。2021年の同省の工業生産増加額(付加価値ベース、以下同)が域内総生産(GRP)全体に占める割合は28.3%に達し、ここ10年で初めて上昇に転じた。さらに、202219月における同割合はさらに増加し、28.6%となった。一方で、山東省の製造業は「規模は大きいが、質は高くない」と指摘される側面もあり、長期的・構造的な問題が解決できていないという。このような背景の下、山東省政府は省内製造業をよりいっそう発展させるべく、行動計画を発表した。

具体的には、2025年までに、(1)工業生産増加額が同省のGRP全体に占める割合を約30%、(2)一定規模以上の工業企業の研究開発(RD)費が売上高に占める割合を約2.2%、(3)ハイテク産業の生産額が工業総生産額に占める割合を約50%、(4)デジタル経済における中核産業の生産増加額が同省のGRP全体に占める割合を約10%、(5)工業生産増加額当たりのエネルギー消費量を2020年比で約17%減、とするなどの目標が掲げられた。

また、製造業のハイエンド化、スマート化、グリーン化、サービス拡張、生態規律に即した集積の推進という5つの側面から、17の取り組みが提起された。具体的には産業イノベーション能力の向上、産業構造のアップグレード、製造業のデジタル化の推進、グリーン生産システムの構築、省エネ・低炭素化の推進、サービス型製造業の発展促進、「専精特新」中小企業(注)などの育成および中小企業と大企業の連携推進、サプライチェーンの強化、産業クラスターの構築などが含まれる。さらに、これら取り組みの実行に向けて、先進的な製造業分野への外資企業の誘致や、業界団体設立の強化、企業が産業政策の立案や改定へ参画できるよう支持、などが含まれた保障措置も打ち出した。

優位性を持つ産業クラスターの強化も目指す

山東省は、省内各市の主要な産業クラスターの強化を進めている。済南市のバイオ医薬クラスターでは、現在3,000社以上のバイオ医薬企業があり、研究開発、生産、サービス、販売、調達などサプライチェーンのプロセスを全てカバーしている。医療品の原薬については20種類余りあり、世界の市場占有率では首位となっている。また、煙台市はグリーン石油化学産業クラスターの育成に注力し、2025年までに石油化学および新材料産業の生産額を4,800億元(約96,000億円、1元=約20円)余りとすることを目指している。そしてアルミニウム産業に優位性があり、酸化アルミニウム、電解アルミニウム、アルミニウム材加工の生産量が中国で首位である濱州市では、軽量化アルミ新材料設備製造に向け産業転換を進めている。計画では、今後3年間で約20カ所の省認定のクラスター群を選定していくことも目指している。

(注)専門性を有し、精密な技術力を持ち、差別化された、革新的な中小企業を指す。

(董玥涵)

(中国)

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