第61回メルコスール首脳会合、加盟国間の立場の違いは変わらず

(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2022年12月28日

第61回メルコスール首脳会合が12月6日、ウルグアイの首都モンテビデオで開催された。ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は、前回に続いて首脳会合を欠席した。各国首脳は、ウルグアイが主張するメルコスール加盟国一体の通商交渉体制の見直しなど、メルコスールの近代化、柔軟化を巡って意見を述べたが、各国の立場の違いはこれまでと変わらないままだ。

ウルグアイのルイス・ラカジェ・ポウ大統領は、「(単独で通商交渉を行うことについて)加盟国一体での交渉は、交渉力が増すので良いことだが、立ち止まることはできない」「自由貿易圏としてのメルコスールは不完全だ」「最近行われた対外共通関税率の引き下げは、加盟国間の意見の一致によるものではなく、特定の国の利益のために行われた。しかしそれは構わない。われわれは、各国が前進するための障害にはならない」と述べ、メルコスールの近代化と柔軟化が必要とあらためて主張した。

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は、「ウルグアイが第三国と2国間通商交渉を一方的に行うことを懸念している」「グローバリゼーションは以前のようには機能しておらず、地域統合が強化され、自由貿易とは異なるものを世界は考えている」と述べ、ウルグアイの姿勢をあらためて批判した。

パラグアイのアブド・ベニテス大統領は「(第三国との2国間通商協定の締結を)ウルグアイが一方的に決定するのではなく、交渉プロセスを事前にメルコスール加盟各国に共有し、加盟各国とともに決定するのであれば、ウルグアイの立場を尊重する」と述べ、ウルグアイ単独での通商交渉の締結には反対した。

メルコスールの議長国は、ウルグアイからアルゼンチンへと移った。議長国の任期は半年。アルゼンチンのフェルナンデス大統領は「メルコスールの規則を尊重する必要がある。規則を変更する必要があるのであれば話し合うべき」と述べ、ウルグアイの問題提起について引き続き議論が必要との立場を示した。ウルグアイがメルコスールの柔軟化を主張してから議論は平行線をたどったままであり、ウルグアイは難しい状況に置かれている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

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