新型コロナワクチン接種率は伸び悩み、副反応と心理的要因に関する研究結果公表

(イスラエル)

テルアビブ発

2022年12月08日

イスラエルでは、新型コロナウイルス新規感染者数が直近約1カ月で増加傾向にあり、新たな感染の波が懸念されている。保健省によると、12月5日時点の新規感染者数は2,002人だった。一方で、3回目のワクチン接種を終えた人は国民の約半数、4回目は約1割にとどまっており、接種率の向上が課題となっている。

そのような中、新型コロナワクチンの副反応と心理的要因の関係について、イスラエルのバルイラン大学などによる研究結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが12月5日に公表された。

この研究内容を報じた同日付現地紙「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、約750人の60歳以上のイスラエル人に対し、ワクチン接種のためらいの度合いと、2回目および3回目の接種後の副反応について、聞き取り調査を行った結果、ワクチン接種をよりちゅうちょした人は、より副反応が出る傾向があった。これはノセボ効果と呼ばれ、薬が有害だと思い込んで服用すると、効果が減少したり望まない副反応が出たりする現象だ。ワクチン接種のためらいは接種後の副反応の出現を16%増加させていたと研究結果は結論付けている。

研究を主導したバルイラン大学のヤーコブ・ホフマン教授は同紙に対し、「人々はワクチンを接種すると健康を害するという思い込みから、接種を避けているかもしれないが、実際には、心理的な要因による副作用もあることを知ってもらうことが重要だ」と語った。同教授は「今回の研究は政策的な意味合いがある」とも語っており、同研究は副反応への不安を減らして接種率を上げたいイスラエル政府の思惑もあったものとみられる。

(廣田新)

(イスラエル)

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