企業は引き続き2023年の景気後退を懸念、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2022年12月06日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が11月30日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、10月から11月初旬にかけての同地域における経済活動について、全体的にほとんど変化がなかった(little changed)と報告した。前回報告と同様、多くの関係者が今後数カ月の成長鈍化を予想しており、2023年の景気後退の可能性について懸念していると報告した。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は、緩やかに(moderately)増加したが、今後12カ月間に増加ペースが鈍化すると見込まれる。労働者の離職率が低下し、雇用はやや容易になったものの、引き続き業種やスキルを問わず労働者を確保することが困難と報告している。

個人消費は、報告期間中ほとんど変化がなかった(little changed)。自動車以外の消費者支出はわずかに増加した。小売業者は、年末商戦の売り上げが価格上昇によって2021年よりいくぶん増加すると見込んでいるが、販売数量は減少すると予想している。

企業支出は、ほぼ変化がなかった(little changed)。小売店の在庫は全体的に高水準で、パンデミック前の水準まで在庫を削減する計画と報告した。自動車の新車在庫は控え目に改善したものの、依然としてパンデミック前の水準を大きく下回っている。製造業では、「万が一に備えて」部品や完成品に近い製品を保持していることもあり、在庫は依然として高水準となっている。

製造業の需要は、わずかに(slightly)増加した。関係者からは受注残がわずかに減少したとの報告があった。生産量は増加傾向にあるが、労働力やサプライチェーンの問題により、引き続き抑制されている。

農業分野について、2022年の同地区での農業所得への期待は、トウモロコシと大豆の収穫が好調で、わずかに上昇した。一方、依然としてミシシッピ川の水位が低いため、輸送コストが上昇し、穀物の輸出や肥料の入手が難しくなっていると報告している。

地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は、報告期間中の経済活動にほとんど変化はなかった(saw little change)と報告した。インフレ圧力により低・中所得世帯を支援する非営利団体の予算を圧迫し、一部サービスの削減を迫られているという。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料表参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(星野香織)

(米国)

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