モンゴル政府、チンギス債の償還を完了

(モンゴル)

北京発

2022年12月20日

モンゴルのボルド・ジャブフラン大蔵相は12月6日に記者会見を開き、モンゴル政府が12月5日にチンギス債(注1)の償還を完了したことを発表した。

ジャブフラン大蔵相は同会見で、「モンゴル政府は、2012年12月にモンゴル初の外貨建て国債として10年物のチンギス債10億ドルを国際資本市場で発行、この支払残高である1億3,680万ドルを2022年12月5日に首相命令により全額完済した」と説明したほか、「期限内に国債を償還することで、デフォルトリスクを回避し、対外的な責任を果たし、国際金融市場での投資家の信頼を高めた」と述べた。

ジャブフラン大蔵相は今回のチンギス債償還の流れについて、「チンギス債で調達した総資金のうち、12.6%はモンゴル国内の商業銀行を通じて農業、軽工業、羊毛・カシミヤ産業の企業に、24.0%はエネルギー、重工業、建設分野の大型プロジェクトに融資された。残り(63.4%)は国家予算の財源となった。チンギス債の利子として5億4,000万ドルの支払い、2億6,400万ドルの元金を支払った。残りの元金はゲレゲ債(注2)、ノマド債(注3)、センチュリー債(注4)などの国債による借り換えで対応した」と説明。ジャブフラン大蔵相は、調達資金の目的を明確にせずチンギス債を発行したため半年から1年近く資金が活用されていなかった点を指摘し、「われわれはチンギス債で得た教訓から学ぶ必要がある」と述べた。加えて、「今後、モンゴル政府は国会が決定した中期債務戦略に従い、2024年末まではこのような短期・高金利の国債は発行しない」と強調した。

(注1)チンギス債(10年物)は2012年12月5日に年利5.125%で10億ドル発行。なお、チンギス債(5年物)は2013年1月5日に年利4.125%で5億ドル発行し、すでに2018年1月5日に完済している。

(注2)ゲレゲ債は2017年10月26日に5.5年物、年利5.625%で8億ドル発行。

(注3)ノマド債は2020年9月28日に5.5年物、年利5.125%で6億ドル発行。

(注4)センチュリー債は2021年6月28日に6年物年利3.5%を5億ドル、10年物年利4.45%を5億ドルの計10億ドル発行。

(藤井一範)

(モンゴル)

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