カナダ政府、クリーン燃料部門推進に最大8億カナダ・ドル助成、第1弾60案件が決定

(カナダ)

米州課

2022年11月16日

カナダのジョナサン・ウィルキンソン天然資源相は11月14日、カナダ政府の「クリーン燃料基金(CFF)」(注)の下で、約 60 のプロジェクトを助成対象案件として採択したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

これらのプロジェクトは、2023年の提案募集への応募案件から第1弾の選考を経て決定した案件で、その事業総額は38億カナダ・ドル(約4,028億円、Cドル、1Cドル=約106円)を超える。案件は7つの管区に及び、5つの異なるタイプの燃料に関するもので、生産施設や実現可能性の調査、フロントエンド・エンジニアリング、設計研究などが対象となっている。

連邦政府は現在、各プロジェクトの助成条件を最終決定するため、各件について交渉中で、政府からの第1弾の拠出金額は、基金の全体想定額15億Cドルのうち、最大8億Cドルになる見通しという。交渉中のため、選定された具体的案件などはまだ明かされていない。現在は、第2弾の案件の審査が進んでおり、12月にも決定するとみられる。

また、今回の発表は、道路輸送の脱炭素化加速に向け、水素・天然ガスの燃料補給ステーション10カ所の整備を行う6組織に対し、合計880万Cドル以上の投資を行うことにも併せて触れている。これら案件への連邦政府からの資金提供は、カナダ天然資源省の「ゼロエミッション車両インフラ・プログラム(ZEVIP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」「電気自動車・代替燃料インフラ開発(EVAFIDI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の枠組みを通じて進められる。

同発表でウィルキンソン大臣は「今日の多額の投資は、世界的な需要が高まる中、クリーン燃料分野におけるカナダの競争力を強化するだろう。これらのプロジェクトは、排出量を削減し、環境を保護しながら、持続可能な雇用を創出し、経済を成長させるのに役立つ」と述べている。

また、報道によると、同大臣は案件決定の発表イベントで「クリーン燃料は、ネットゼロの世界におけるクリーン・テクノロジー・ミックスの不可欠な部分だ」と述べたほか、「日本や韓国、欧州など、世界中の政府や産業界にとって、水素は彼らが未来をどのように見ているかにおいて絶対的に重要な部分だ」と、日本にも言及したもようだ。また、「率直に言って、一部のセクターでは水素が解決策の一部とならない限り、ネットゼロへの非常に単純な道はあり得ないと思う」とも述べたという(「グローブ・アンド・メール」11月14日)。

(注)「クリーン燃料基金」は、水素、再生可能ディーゼル、天然ガス、セルロース系エタノール、合成燃料、持続可能な航空燃料など、カナダでのクリーン燃料の生産を拡大することを目指し、全体で15億Cドルの投資を行う目的で、2021年6月に発足した政府の枠組み。条件付き返済を行う拠出契約を通じてプロジェクト費用合計の最大30%の資金を助成するもので、1件のプロジェクトに対し、生産案件の場合は最大1億5,000万Cドル、実施可能性調査の場合は最大500万Cドルを助成する。

(高山さわ)

(カナダ)

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