カナダ政府、2050年までのGHG排出ネットゼロ達成へ、学術機関主導の24プロジェクトの支援発表

(カナダ)

米州課

2022年11月29日

カナダ政府のスティーブン・ギルボ環境・気候変動相は11月23日、気候変動と闘うための科学・技術の進展を図る24の学術研究機関主導のプロジェクトに、「気候変動アクション意識基金(Climate Action and Awareness Fund:CAAF)」(注1)から最大5,800万カナダ・ドル(約59億7,400万円、Cドル、1Cドル=約103円)の支援を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ギルボ大臣は今回の支援について「科学研究は、気候変動と闘うためにわれわれが行う全てのことを支えている。この資金は重要な支援を提供し、政府と学術界が協力して実用的で達成可能な気候変動の解決策を探求することを可能にする。それぞれの独自の専門知識を活用することで、領域や分野、コミュニティー、研究機関を超えたコラボレーションを促進できる」と述べている。

採択したプロジェクトは12の大学と非政府組織1機関が主体となり、カナダの科学知識を強化し、ネットゼロの温室効果ガス(GHG)排出につながる行動を特定、加速、評価するために使用される。科学技術分野に従事する雇用創出も期待されるという。

例えば、全対象機関中最多の6件の採択を受けたウォータールー大学は、気候変動科学プロジェクトについて計1,600万Cドル近くの助成を受ける。そのうち3件は自治体レベルでのGHG排出量の把握と削減を目的とする大規模なプロジェクトとなる。地方や埋め立て地での監視が改善されることで、カナダ政府が排出量を削減する新たな機会を見いだすのに役立つと期待されている(全24案件の実施機関と概略については採択案件概要の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと添付資料表を参照)。

(注1)CAAFは、カナダの環境保護規則に違反したフォルクスワーゲンが「環境損害基金」(注2)に支払った、環境関連ではカナダ史上最高額の罰金1億9,650万Cドルを主な財源として立ち上げられた。現在は2億600万Cドル規模になっている。CAAFの優先事項は以下の3点。(1)若年層の気候変動に対する問題意識向上とコミュティーを基盤とした対策支援、(2)カナダ国内シンクタンクと学術界における気候変動調査支援、(3)気候変動に関する科学技術の発達支援。

(注2)「環境損害基金」は、カナダ環境気候変動省が管理する特定目的の口座で、罰金や裁判所命令、任意支払いから受け取った資金を、カナダの自然環境に利益をもたらす優先プロジェクトに振り向けている。

(高山さわ)

(カナダ)

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