オクトパスエナジー、破綻したバルブ・エナジーの顧客を継承

(英国)

ロンドン発

2022年11月07日

英国のビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)省は10月29日、経営破綻したエネルギー小売事業者バルブ・エナジーの顧客をオクトパスエナジーが引き継ぐことで両社が合意したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バルブ・エナジーは2021年11月、エネルギーの卸売価格高騰の影響を受けて経営破綻し、「特別管理制度(Special Administration Regime)」下に置かれ、政府の資金提供を受けてエネルギー管理者の運営により顧客へのエネルギー供給が継続されていた(2021年11月26日記事参照)。バルブ・エナジーは経営破綻当時、小売業界で7位のシェアを保有していた〔2021年第2四半期(4~6月)時点で、電力供給市場シェア5.5%、ガス供給市場シェア4.9%〕。今回の措置により、バルブ・エナジーの150万軒の顧客と650人の従業員がオクトパスエナジーへ移管される。

英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)によると、2022年第2四半期時点のオクトパスエナジーの電力とガスの市場シェアはそれぞれ10.9%、11.2%、バルブ・エナジーの電力とガス市場シェアは5.1%、4.6%となっている(添付資料表参照)。両者のシェアを単純合計すると、電力では第3位、ガスでは第2位の市場シェアとなる。

移管手続きに当たり、バルブ・エナジーの顧客のエネルギー供給が中断されることはない。また、バルブ・エナジーとオクトパスエナジー双方の供給契約にも変更はない。オクトパスエナジーから新しい契約者番号や設定方法が届くまでは、バルブ・エナジーの契約者番号などの情報をそのまま利用でき、顧客自身による対応の必要はないとした。こうした契約移管に関する顧客へのガイダンスはバルブ・エナジー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますオクトパスエナジー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます双方のウェブサイトで公開されている。

オクトパスエナジーは2021年9月に、経営破綻したアブロ・エナジーの約58万軒の顧客受け入れに対応している。オクトパスエナジーは今回の発表の中で、バルブ・エナジーの顧客に対して、過去の同様の受け入れ対応がスムーズに進んだことを示している。

今回の移管手続きに関する取引は、BEIS相の承認を経て、11月末までに完了する見通し。

(菅野真)

(英国)

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