ASEAN若手起業家協会、プノンペンでスタートアップの課題を議論

(ASEAN、カンボジア)

バンコク発

2022年11月15日

ASEAN若手起業家協会(AYEC)は1112日から13日にかけて、カンボジアの首都プノンペン市内で「第7ASEAN若手起業家カーニバル2022」を開催した。若手起業家の協会はASEAN各国にあり、AYECはその連合組織として2015年に設立されて以来、イベントを毎年開催している。2022年はカンボジア若手起業家協会(YEAC)が議長となり、3年ぶりにリアル開催となった。

写真 新型コロナウイルス感染拡大以降、初めてのオンサイト開催となった(ジェトロ撮影)

新型コロナウイルス感染拡大以降、初めてのオンサイト開催となった(ジェトロ撮影)

カンボジア産業科学技術イノベーション省のカン・チャンメタ次官は開会に当たり、「2022年はロシア・ウクライナ紛争の発生や、コスト上昇など困難な事態が続いているが、起業家によるASEANのデジタル経済の発展に期待する」と述べた。そのためには「技術者の域内移動円滑化、デジタル技術の共有、アップスキリングが重要」と強調した。

ASEANの起業家によるパネル討議では、資金調達などがテーマとなった。インドネシア若手起業家協会のシンタ・プトゥリ氏は「インドネシアでは中小企業が90%を占め、会計処理や記帳が適切でないことが多く、融資の阻害要因となっている。また、金利も高い」と指摘した。ブルネイの起業家シニー・キア氏は「ブルネイは経済規模が小さく、銀行も限られるため、ファイナンスを得づらい」と述べた。

写真 起業家によるパネル討議(ジェトロ撮影)

起業家によるパネル討議(ジェトロ撮影)

エクイティ・ファイナンスについて、ミャンマー起業家協会(MYEA)のアウン・トゥラ会長は「ミャンマーでは地場の投資家が少ない。起業家のニーズに合った投資が得づらい」と指摘した。一方、シンガポールの起業家エリック・ネオ氏は「政府がアーリーステージでの金融支援に力を入れており、起業家が資金を得やすい」とした。参加したカンボジアの起業家からは、「(カンボジアには)多数の若手起業家がいるが、会計知識や投資家や銀行とのコネが十分にない」といった意見があった。

今回のイベントを支援したドイツ国際協力公社(GIZ)の担当者は「カンボジアでは、デジタルスキルに加えて、会社経営や実務上の基礎的スキルなどの開発が必要だ」と述べる。GIZは、ASEAN100件前後のデジタル人材育成プロジェクト実績があり、若手起業家の育成に力を入れている。起業初期の段階でのアップスキリングプログラムをどう提供するか、研修内容の改善と多様化を図っている。

なお、貿易促進のパネル討議では、ジェトロや在カンボジア・インド商工会議所、在カンボジア・オーストラリア商工会議所がそれぞれの国とASEANの貿易機会や自由貿易協定(FTA)の活用などを紹介した。

(北見創)

(ASEAN、カンボジア)

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