日タイ首脳会談、包括的戦略的パートナーシップへと関係を格上げ
(タイ、日本)
バンコク発
2022年11月28日
タイのプラユット・チャンオーチャー首相は11月17日、岸田文雄首相と会談した。タイ政府発表によると、両首脳は日タイの外交関係樹立135周年と、戦略的パートナーシップの締結10周年を迎えたことを祝しつつ、両国の関係を包括的戦略的パートナーシップ(全方位の協力を推進)へと格上げし、協力をさらに強化することを確認した。なお、同日に別途開催された日タイ外相会談において、林芳正外相とタイのドーン・ポラマットウィナイ副首相兼外相が、両国の今後5年間の経済分野での協力の方向性を定めた「日タイ戦略的経済連携5カ年計画」に署名したことを歓迎した。
同首脳会談では、両国はタイ政府が推進する「バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済」モデル、日本の「アジア・ゼロエミッション共同体構想」などを通じて、最新のエネルギー技術開発や低炭素エネルギー事業への投資で協力を深める方針を確認した。
また日本側からは、両国のスタートアップの連携促進にかかる協力を強化するという提案があった。他方、タイは日本に対し、長期的な人材育成のため、タイ国内でさらに高等専門学校(高専)を追加設立することを要望した。
その他、両国が、タイ周辺諸国からの要望に応じて、メコン地域の開発を継続的に支援するパートナーとなる旨を確認。岸田首相は、これまでのタイのメコン地域開発におけるコミットメントと行動を評価した。
西村経産相がジュリン副首相と会談
日タイ首脳会談の前日(11月16日)に、タイのジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務相は、西村康稔経済産業相と会談した。タイ商務省貿易交渉局(DTN)発表によると、日本側からは、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の利活用促進、インド太平洋経済枠組み(IPEF)に向けた協力推進などの提起があったほか、日ASEAN50周年を記念して開始した「日ASEAN経済共創ビジョン」プロジェクトについて言及した。同プロジェクトでは、(1)日本とASEANの企業同士の新たなネットワークを100件構築し、共同事業開発や貿易促進を図る。また、(2)日ASEANのサプライチェーンを活用し、共同で新たな製品生産・サービス提供を促進するほか、(3)グリーン経済など環境問題に関する共同の取り組みを100件組成する。
タイ側は、(1)日タイ経済連携協定(JTEPA)に基づくタイ産バナナの日本への輸入枠のさらなる活用促進(ジェトロによるタイ生産者への情報提供など)、(2)2028年の万博の開催候補地(プーケット島)として、開催に向けた支持などを要望した。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、日本)
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