スリランカ、シンガポール・スリランカFTAの履行に向け前進

(スリランカ、シンガポール)

コロンボ発

2022年11月22日

スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領は11月16日、大統領公邸で開かれた政府関係者との会合において、シンガポール・スリランカ自由貿易協定(FTA)を直ちに履行するよう命じた。

同FTAは、両国間の1年半にわたる交渉の後、2018年1月23日に署名され、同年5月1日に発効していた(2018年4月27日記事参照)。両国間の投資や貿易、サービスなどの分野を取りまとめた初めての包括的協定であり、スリランカから世界の市場へのアクセスを高めるとともに、スリランカへの投資を呼び込む重要な機会としても期待されていた。また、スリランカが「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」などの広域FTAにかかわっていくための契機としても注目される。

しかし、スリランカの野党や労働組合などが、「スリランカに対して利益をもたらさない」「閣僚の同意を得ていない」といった理由から厳しく反対したため、2022年11月現在では同FTAが履行されていない。2021年5月には、スリランカ政府が18項目の修正に着手したものの、依然として履行には至っていない。

一方で、2022年9月末に開催されたシンガポールのリー・シェンロン首相との会談において、ウィクラマシンハ大統領は同FTAの履行について言及し、リー首相も歓迎の意を示していた。今後、スリランカ政府内では、FTAの履行に向けて障害となっている条項の解消に向けた検討作業に着手する予定だ。

(ラクナー・ワーサラゲー、大井裕貴)

(スリランカ、シンガポール)

ビジネス短信 d74c8016de738b72