5回目の地デジ移行計画延期、アナログ停波を2024年末とする方向でパブコメ実施へ

(ペルー)

リマ発

2022年11月28日

ペルー運輸通信省(MTC)は1121日、2022年末を予定していた、リマ市とカジャオ憲法特別区における地上アナログテレビジョン放送から地上デジタルテレビジョン(地デジ)放送への完全移行計画を、2024年末まで延期を提案すると発表した。MTC2010年に当初設定した地デジ実装マスタープランは、地デジへの移行時期の変更が繰り返され今回で5回目(注1)となる。MTC20221121日、2024年末まで延期案を定めたMTC省令第1092-2022-MTC/01.03外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと地デジ実装マスタープランを定めた大統領令第017-2010-MTC号の改定令を公布した。

MTCでは延期の理由について、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で多くの放送局においてデジタル放送への移行準備が整っていないためだとしている。既に準備が整っている放送局については、放送を開始する場合、カノン税(注2)の支払い減額などのインセンティブを付与するとしている。MTCでは、最終的なアナログ停波について国民や企業からの意見を聴収するパブリックコメントを、125日までMTCの通信放送管理局〔Dirección General de Autorizaciones en TelecomunicacionesDGAT)〕または専用メールで受け付ける(注3)とし、その内容を検討した上で停波時期をあらためて定めるとしている。

同省では今回、リマ市とカジャオ憲法特別区を含む「地域01番」と、アレキパ市、クスコ市、トゥルヒージョ市、チクラジョ市、ピウラ市、ウアンカージョ市を含む「地域02番」における地デジ実装状況について調査を実施した。その結果、アナログ停波まで平行放送を予定している放送局の41%と、地デジへの直接移行を予定している放送局(注4)の74%が、地デジ放送準備が整っていないと回答したという。さらに、全体の9%に相当する放送局がいずれの方法で移行するのかさえ決めていないとしている。

また、「地域01番」の国民に対して地デジ放送への移行に関する認識度調査を行ったところ、80%が地デジ放送について「知らない」と回答したという。加えて、新型コロナウイルス感染の影響でアルゼンチン、ボリビア、チリ、コスタリカ、パラグアイなどその他の中南米諸国でアナログ停波時期が延長され、エクアドル、ホンジュラス、パナマにおいては一時的に中止されるなどの状況も今回の延期判断に考慮されたとしている(添付資料表参照)。

(注1)これまで2014年(大統領令第020-2014-MTC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2020年(大統領令第006-2020-MTC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2021年(大統領令第007-2021-MTC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます大統領令第029-2021-MTC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の計4回スケジュール変更が行われている。

(注2)企業から徴収した税金を、地方自治体の開発案件の財源に充てる枠組み。放送業界については大統領令第016-2010-MTC号によって定められており、企業の体制や設備などに応じて毎年計算される。

(注3)通信放送管理局の住所は、Jirón Zorritos No.1203,Cercado de Lima。専用メールアドレスは、gtorrest@mtc.gob.pe

(注4)MTCは直接移行のための猶予を7カ月と定めており、放送局は少なくともアナログ停波の1カ月前までにユーザーへの周知を図ることが義務付けられている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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