ペロシ米下院議長、民主党トップ退任を発表、党内の世代交代を後押し

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月21日

米国連邦下院議会で約20年にわたり民主党トップを務めてきたナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州)は11月17日、議会でのスピーチで2023年1月からの第118議会では党の要職に立候補しない考えを表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ペロシ議長はスピーチの中で、「今、われわれは未来に向けて大胆に歩を進めなければならない」とし、「心から尊敬する民主党を新たな世代が率いる時が来た」と、世代交代の必要性を訴えた。下院民主党ではこれに続いて、党内2位として多数党院内総務を務めていたステニー・ホイヤー議員(メリーランド州)も、第118議会で党要職に立候補しない考えを表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。なお、両議員とも2022年11月8日の中間選挙で再選されており、第118議会での議員職は継続するとしている。

11月18日には、新議会における下院民主党の要職1~3位に、それぞれハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州)、キャスリン・クラーク議員(マサチューセッツ州)、ピート・アギラー議員(カリフォルニア州)が立候補を表明した。これに対して、ペロシ議長は同日、「誇りと感謝と自信をもって、私はハキーム・ジェフリーズ(民主党幹部会)会長、キャスリン・クラーク議長補佐、ピート・アギラー(民主党幹部会)副会長がこの素晴らしい責務を引き継ぐ準備と意思を示したことを称賛する」と支持を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。下院民主党の党内選挙は11月30日に行われる。

ジェフリーズ議員は52歳で、ニューヨーク州のクイーンズおよびブルックリンが含まれる第8選挙区からの選出となる。現在は党内5位となる下院民主党幹部会の会長を務めているが、党内1位の座が確定した場合、上下院含めて黒人として史上最高位の議員となる。米国メディア「アクシオス」(11月17日)によると、約20年前にはペロシ議長が「女性として初めて」下院議長に選出されたため、民主党議員の中には同ポジションの後任に同じく「黒人として初めて」といった史上初のような人選を充てる考えがあるとしている。

他方、今回の中間選挙を経て新議会で多数派となる共和党では、現在、少数党院内総務を務めるケビン・マッカーシー議員(カリフォルニア州)が次期下院議長に立候補しており、共和党内では188対31の賛成多数で承認されている。しかし、新議会で正式に承認されるには、全下院議員435人の過半数となる218票以上の賛成が必要となる。「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版(11月15日)は、民主党議員は全員反対に回ると見込まれているため、2023年1月までに共和党内からの支持を固めなければならないと指摘している。

(磯部真一)

(米国)

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