地場企業による中国ブランド車工場が起工

(カザフスタン、中国)

タシケント発

2022年11月28日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は11月15日、カザフスタンの自動車販売大手アスタナ・モータースが同国最大都市アルマトイ近郊に建設する中国ブランド車の組立工場建設予定地を視察し、起工式に出席した(大統領府ウェブサイト11月15日)。

アスタナ・モータースは9月15日、中国自動車メーカー大手の奇瑞汽車(ブランド名:チェリー)、長安汽車、長城汽車(ハバル)3社と、国内生産に関する覚書を締結したと発表した。アスタナ・モータースが100%出資で生産会社を設立し、これら3社の乗用車をライセンス生産する。投資額は1,000億テンゲ(約300億円、1テンゲ=約0.3円)。建設は2022年末に開始し、2024年末~2025年初に稼働する予定としていた。

工場の生産ラインは3社ごとに分かれており、溶接、塗装、組み立て、資材倉庫、オフィスビルを合わせると工場施設総面積は10万平方メートルに及ぶ。年9万台の生産が可能で、うち60%をCIS諸国に輸出する計画。2,200人の新規雇用が見込まれる(フォーブス・カザフスタン9月15日)。工場ではチェリー「TIGGO」シリーズ、長安「CS」シリーズ、ハバル「JOLION」「H6」「M6プラス」を生産する予定(中国車情報サイト「キタイスキエ・アフトモビリ」11月16日)。

アスタナ・モータースは自動車生産の現地化を積極的に進めており、2020年10月に韓国・現代自動車と組立工場を稼働させている(ニュースポータル「ハバル24」2020年9月25日)。

カザフスタンでは、新型コロナ禍によるサプライチェーンの混乱やウクライナでの紛争に起因する物流の停滞などが原因で、主要外国メーカーの新車価格が割高、品薄になっており(経済ニュースポータル「LS」4月28日)、比較的安価で入手しやすい中国メーカーの乗用車の売れ行きが好調だ。

トカエフ大統領は起工式でのスピーチの中で、2022年9月にカザフスタンを訪問した中国の習近平国家主席との会談でも本プロジェクトについて言及されており、わが国にとって非常に重要なプロジェクトだ、と述べている。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国)

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