第3四半期の貿易赤字、前期から倍増、銅価格の下落が重荷に

(チリ)

サンティアゴ発

2022年11月29日

チリ中央銀行の11月23日付統計速報によると、2022年第3四半期(7~9月)の貿易(通関ベース)は、輸出額(FOB)が前年同期比0.3%減の233億9,400万ドル、輸入額(CIF)が10.7%増の274億2,800万ドルで、貿易収支は40億3,400万ドルの赤字だった。赤字額は前期の20億2,700万ドルから約倍増した。

輸出を品目別にみると、構成比55.9%を占める鉱産物は前年同期比12.4%減の130億6,600万ドルだった(添付資料表1参照)。銅は、主要鉱山での採掘減に加えて、今期の国際銅価格の平均が1ポンド=3.51ドルと、前年同期比17.4%減となったことなどが影響している。

チリ銅委員会(COCHILCO)は7月末に発表した銅市場の動向を調査したレポートで、2022年の国際銅価格について前回発表した4.40ドルから下方修正し、1ポンド=4.00ドルとの予想を発表した。価格を修正した理由についてCOCHILCOは、コンゴ民主共和国やインドネシアでの銅生産の見通しが増加したことで市場への供給増が見込まれることや、中国での銅需要減が影響していると分析している。

鉱産物全体では前年同期比で減少したものの、主に中国や日本、韓国などアジア向けに輸出する炭酸リチウムの輸出額は8.4倍の大幅増となった。

工業品は前年同期と比較してプラス成長だった。輸出増に貢献したのは化学品、サーモン、林産品、木製家具などで、新型コロナウイルス禍で停滞した産業活動が戻りつつあることを示している。また、ボトルワインも前年同期比9.9%増となり、ブラジル(構成比:12.8%)、米国(8.9%)、日本(7.3%)向けの輸出が伸びた。

輸入を品目別にみると、中間財は前年同期比20.4%増の151億1,000万ドルだった(添付資料表2参照)。エネルギー製品や化学製品の輸入増が影響している。消費財は4.0%減の72億2,900万ドルで、主に耐久消費財のコンピュータ、テレビ、電化製品などの輸入が減少した。一方で、その他の消費財は、ガソリン輸入が5.5倍と大幅に増加したため、7.7%増となった。資本財はトラック、牽引車と電気モーター、発電機、変圧器がいずれも2桁増で、8.0%増だった。

輸出を地域別にみると、アジア向けは前年同期比1.0%増だったが、米州、欧州向けはそれぞれ2.9%減、2.4%減だった(添付資料表3参照)。輸入は、米州からが24.7%増と2桁増となったものの、欧州、アジアからの輸入は減少した。

輸出入を主要国別にみると、中国と米国がチリの主な貿易相手国で、この2カ国でチリの輸出の50.3%、輸入の48.1%を占めている。同2カ国向けの主な輸出品は銅関連製品だが、両国とも前年同期比で減少している。中国からの輸入は耐久消費財、米国からはエネルギー製品が中心だった。

(岡戸美澪)

(チリ)

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