世界銀行が途上国のための水素開発パートナーシップ立ち上げを発表

(世界)

中東アフリカ課

2022年11月17日

エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27、2022年11月7日記事参照)で、11月15日は「エネルギーデー」として、グリーン水素などの再生可能エネルギーや、グリーンエネルギーへの移行、エネルギー安全保障などに関するイベントが多数行われた。

世界銀行は同日、途上国における低炭素水素の開発を促進するためのグローバルイニシアチブ「水素開発パートナーシップ(The Hydrogen for Development Partnership:H4D)」の立ち上げを発表した。

同パートナーシップは、今後数年間で、公共・民間資金源の両方からの水素開発投資にかかる資金調達を促進するほか、途上国における低炭素水素の展開に向けたキャパシティビルディングや規制面での解決策、ビジネスモデル、技術開発を支援することを目的としている。

世界銀行のデービッド・マルパス総裁は同パートナーシップについて、「途上国が低炭素水素プロジェクトを準備し、(二酸化炭素)排出量を削減しながら国民のエネルギー安全保障とレジリエンスを高めることを可能にする」と述べた。また、世界銀行は11月15日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、低炭素水素は途上国にとって、新たな輸出収入源の創出につながるほか、肥料の原料となるアンモニアの生産にも利用できることから、食料安全保障の推進に貢献する可能性についても触れている。

同パートナーシップの主な活動は以下のとおり。

  • 途上国の低炭素水素技術に関する知識ベースを増やすための国際協力の実施
  • 世界的な公共財のアプローチに従うことによるキャパシティビルディング
  • 低炭素水素とその誘導体の展開に関する、新興市場および民間部門における要求の理解
  • イノベーションについての情報発信と、新技術の認知度向上にかかる機会創出
  • 各国間での低炭素水素展開を可能にするための政策対話の実施
  • クリーン水素プロジェクトのための民間部門パートナーとの協力促進

(久保田夏帆)

(世界)

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