第31回アラブ連盟首脳会合、アルジェリアで開催

(中東、アルジェリア)

中東アフリカ課

2022年11月07日

アルジェリアのアルジェで11月1、2日、第31回アラブ連盟首脳会合が開催された。新型コロナウイルス感染の影響により、3年ぶりの開催となった。アラブ連盟加盟の22カ国・機構(注)のうち、約3分の2の首脳が参加したが、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、モロッコなどの首脳は欠席し、閣僚級が参加した。

今回の会合では、アラブ連盟がパレスチナを全面的に支援するとあらためて宣言した。前回の首脳会合が開催された2019年以降、パレスチナを取り巻く環境は大きな変化を見せており、特にUAEやバーレーン、モロッコ、スーダンがイスラエルと国交正常化を合意したことを受け、他のアラブ諸国からは非難の声もある。

食料安全保障についても議論した。特にアラブ諸国はロシアやウクライナから小麦を輸入しており、ロシアのウクライナ侵攻後に食糧危機が起きていることが指摘された。なお、アラブ連盟としては、ロシアとウクライナの対立に関して中立の立場を維持する構えを示した。一方で、武力行使ではなく和平の努力を求めると強調した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長も会合に参加し、国連によるパレスチナ難民への支援や、発展途上国への支援、黒海を経由するウクライナの穀物取引への支援などについて取り組むと述べた。また、エジプトで11月6日から開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)にも言及し、気候変動対策への協力を呼び掛けた。

その他、政治や経済的な危機にあるリビアやレバノン、イエメン、シリアなどについて、安定に向けた支援などが議論された。次回のアラブ連盟首脳会合はサウジアラビアで開催される予定だ。

(注)アラブ連盟加盟は、エジプト、シリア(加盟資格停止中)、イラク、ヨルダン、レバノン、サウジアラビア、イエメン、リビア、スーダン、モロッコ、チュニジア、クウェート、アルジェリア、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、オマーン、モーリタニア、ソマリア、パレスチナ自治区、ジブチ、コモロの22カ国・機構。

(井澤壌士)

(中東、アルジェリア)

ビジネス短信 871806c18a873362