中銀、外国人観光客のクレジットカード払い適用レートを優遇

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年11月10日

アルゼンチン中央銀行は113日、中銀通達A7630PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、外国人旅行者など非居住者が国内で買い物をする際、国外で発行されたクレジットカードやデビットカードで支払う場合に優遇する為替レートを適用することを認めた。翌4日に施行された。サービス輸出による外貨収入について、外国為替市場で両替する義務から、非居住者によるカード決済を例外的に除外するものだ。

対象となるのは、買い物、あらゆる旅行関連サービス、国内での陸上、海上、航空輸送チケットの購入で、113日付けの国営テラム通信の報道によると、従来は公式為替レートで換算していたものがMEP(電子決済市場)レートで換算する。MEPレートとは、アルゼンチン国内での有価証券取引を通じてペソとドルを交換する取引に適用する為替レートで、1ドル当たりの交換比率はブルーレートと呼ばれる並行為替レートに近い。MEP取引では通常、ペソ建て、ドル建てで売買が可能なアルゼンチン国債が用いられる。117日時点の公式為替レートは1ドル165ペソ、並行為替レートは同290ペソ、MEPレートは同291ペソとなっている。

これまで、外国人旅行者は手元の外貨を市中の闇両替商などでブルーレートで換金するのが一般的だった。今回の制度は、闇市場に流れる外貨を表に出すことで外貨準備高の積み増しにつなげる狙いがあるとみられるが、成功するかどうかは未知数だ。政府はこれまでに、外国人旅行者が入国後に特別な銀行口座を開いた場合や、正規の両替商で外貨を両替した場合にMEPレートでの換金を認めてきたが、利用者はほとんどいなかったとされている。先述のテラム通信によると、今回認めたカード決済代金のMEPレートでの換算はカード会社の義務ではないため、実際に機能するかどうかも注視する必要がある。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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