中期予算を発表、増収分を公社の財政支援に充てる計画

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年11月10日

南アフリカ共和国のイノック・ゴドングワナ財務相は10月26日、2022年の中期予算方針演説を行った。同年の実質GDP成長率の見通しは2月発表の2.1%から1.9%に下方修正し、今後3年間の成長率は平均1.6%と予想した。2021年から2022年第1四半期(1~3月)まで堅調に景気回復していた南ア経済だが、4月にクワズル・ナタール州などで発生した洪水(2022年4月15日記事参照)や主要産業での労働争議(2022年10月19日記事参照)、広範囲で頻発した停電が経済停滞を招いた。

一方、2022/2023年度(2022年4月~2023年3月)の歳入は、1兆6,800億ランド(約13兆7,760億円、1ランド=約8.2円)に上方修正し、当初の想定より835億ランド増収する見通しだ。これは、好調だった金融業や製造業からの法人税徴収額が増加したことが大きな要因とされ、増えた歳入は財政赤字の軽減や、インフラや公共サービスへの投資、国有企業の財務リスク解消に充てる予定だ。なお、2022/2023年度の公的債務(グロス)のGDP比は71.4%で安定すると予測した。

ゴドングワナ財務相は運輸、エネルギー部門などの主要産業を担う国有企業などの財政安定化を目指し、財政支援を目的とした特別歳出法案を提出したと発表した。資金提供に当たっては事前に厳しい条件を提示し、それを順守できない場合は支援を行わないと述べた。財政支援の対象は以下のとおり。

  • 運輸公社トランスネットに58億ランドの資金提供。洪水で損傷したインフラの修繕と鉄道網の強化に充てる。
  • ハウテン州高速道路改善プロジェクトを担うサンラル(注1)の資金繰り解消のため、全体資金の70%を負担。なお、ハウテン州政府は残りの30%を拠出予定。
  • 航空・軍事公社デネル(注2)には財政再建のために、最大34億ランドを提供。
  • 電力公社エスコムには、債務引き継ぎ前とその期間中の同社の構造的な課題への対処(自治体や一般家庭の滞納管理、料金設定の透明性向上など)などを条件に、4,000億ランドに上る債務の3分の1から3分の2までを引き受けるとした。具体的な数字は未発表で、プログラムの詳細は2023年予算で確定する予定だ。

南ア金融大手インベスティックのエコノミストは今回の発表について、政府の公的債務(グロス)の安定や財政赤字の改善などを予測するものと評した一方、すぐに信用格付けが上がることはないとの見方を示している。経済団体ビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)は、今回の政府の発表が前向きなものだったため、投資家の投資意欲を高めるだろうと述べた。

(注1)南アの国道の管理、保守、開発を担う半官半民組織。

(注2)航空宇宙・軍事技術の開発などを担う公社。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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