第3四半期のGDP成長率、前年同期比14.2%と2桁成長に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年11月22日

マレーシア中央銀行と統計局は1111日、2022年第3四半期(79月)の実質GDP成長率が前年同期比14.2%だったと発表した〔添付資料「表1 需要項目別実質GDP成長率の推移」、「図 実質GDP成長率と項目別寄与度の推移」参照〕。5四半期ぶりの2桁成長となった。中銀のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、前年同期からの反動増(ベース効果)があるものの、堅調な内需が経済成長を牽引した。

需要項目別にみると、GDP6割強を占める個人消費が前年同期比15.1%増となった。前期の18.3%増からはやや減速したが、労働市場の回復に伴う消費支出の増加を背景に、引き続き経済全体を下支えした。政府消費は、物資とサービスへの支出増により前期の2.6%増から4.5%増へ伸びが拡大した。民間投資は、サービス業と製造業による資本支出の増加で、前期の6.3%増から13.2%増に加速した。公共投資は、石油ガス産業と通信産業における公的部門による資本支出増により、前期の3.2%増から13.1%増へと大きく加速した。

産業別では、GDP6割弱を占めるサービス業が、前年同期比16.7%増と前期(12.0%増)から加速し、とりわけ自動車や住宅などの販売が大きく伸びた(添付資料表2参照)。製造業は13.2%増と、前期(9.2%増)から拡大した。特に電子部品、通信機器、家電産業が、4期連続で2桁成長を記録した。一方で、ゴム製品は4期連続でマイナス成長となった。建設業は15.3%増と前期(2.4%増)から2桁増へ加速した。鉱業・採石は9.2%増と5期ぶりにプラスに転じた。農業は1.2%増と、前期(2.4%減)のマイナスからプラスに戻った。

通年見通しを上方修正、慎重ながらも楽観的な見通し

マレーシア産業開発金融(MIDF)付属のシンクタンクMIDFリサーチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、第3四半期のGDP成長率が予想以上に好調だったことを受け、2022年通年の経済見通しを前回予測の6.6%から8.0%に上方修正した。所得と労働市場の改善継続が、第4四半期と2023年にかけて消費活動を下支えするとの予測が背景にある。一方、世界的な景気後退やマレーシア総選挙の結果などが、今後の成長率に影響を与える可能性もあると慎重な見方も示した。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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