西村経済産業相とタイ米USTR代表が会談、IPEFの着実な進展の重要性確認

(米国、日本)

ニューヨーク発

2022年11月21日

西村康稔経済産業相とキャサリン・タイ米国通商代表(USTR)代表は11月17日、APEC閣僚会議出席のために訪問したタイ・バンコクで会談した。USTRの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、両閣僚は、米国が議長国を務める2023年のAPECへの期待について議論した。タイ代表は、米国は現在(2022年)のAPECの優先課題の多くを引き継ぐと伝え、特に持続可能で包摂的な貿易に関する取り組みを強調した。また、両氏は、日本が議長国となる2023年のG7の優先課題を協議し、経済安全保障や非市場的経済政策・慣行がもたらす共通の課題への対処などに言及した。

両閣僚はまた、インド太平洋経済枠組み(IPEF)に関して、12月にオーストラリアで行われる予定の第1回交渉会合への期待を議論した(2022年11月15日記事参照)。IPEFの全参加国の包摂性と力強い成果に焦点を当て、今後の野心的な交渉スケジュールへの支持を表明した。今日の課題と機会に見合った、今までにないコミットメントを提示する必要性で一致した。そのほか、世界のサプライチェーンからの強制労働の根絶など、日米通商協力枠組み(2022年8月26日記事参照)の下で推進されている共通の課題についても話し合った。

タイ代表は会談で、日米貿易協定に基づく米国産牛肉に対するセーフガード措置に関する合意(2022年6月8日記事参照)や、日本による輸送機器用エタノールの利用目標についても取り上げた。米国で8月に成立したインフレ削減法(IRA)に基づくクリーンビークル〔バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)〕への税額控除(2022年9月29日記事参照)に関しても議論し、タイ代表は、クリーンエネルギー技術に投資し、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性に対処することで、気候危機と戦うための意味ある行動を取ることの重要性を指摘した。

経済産業省も発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、両閣僚はIPEFについて集中的に議論を重ね、着実に進展させていくことの重要性を確認したとしている。IRAに基づくクリーンビークルへの税額控除については、西村経済産業相が日本の懸念を伝えた。

(甲斐野裕之)

(米国、日本)

ビジネス短信 672adea0325970d4