上海市、多国籍企業の地域統括拠点の設立奨励規定を発表

(中国)

上海発

2022年11月14日

中国・上海市政府は11月8日、多国籍企業の地域統括本部などの拠点設立を促進するため、「上海市多国籍企業地域統括本部設立奨励規定」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの改定版を発表した。同規定は、地域統括本部、本部型機構、事業部本部の定義や認定基準、優遇政策などを定めるもの(詳細は添付資料表参照)。今回の改定は、同規定を2002年に施行して以来5回目となり、事業部本部の定義などを追加した。有効期間は2027年10月31日まで。なお、上海市政府によると、9月末時点で上海市に設立した多国籍企業の地域統括本部は877社にのぼるという。

認定基準について、地域統括本部は、海外の親会社による直接または間接持ち株比率が50%以上、親会社の資産総額が2億ドル以上、登録資本金が200万ドル以上などとしている。本部型機構の場合は、海外の親会社による直接または間接持ち株比率が50%以上、親会社の資産総額が1億ドル以上、登録資本金が100万ドル以上で、支部として設立した場合、3年間のうちに本部から受ける運営資金が100万ドル以上などと定められている。今回の改定で新設された事業部本部の認可基準は、1年以上経営を継続しており、前年度営業収入が10億元(約200億円、1元=約20円)以上、かつ親会社の事業部門の営業収入全体に占める割合が10%以上などとなっている。

上述の基準で認定された企業への優遇政策については、規定の第9条~第18条で定められている。貿易における利便性向上(第11条)では、総合保税区内で航空宇宙、船舶、鉄道、建設機械、数値制御(NC)工作機械、通信設備、精密電子、ハイエンド医療設備などの製品の修理業務を行うことが可能となる。科学技術イノベーション支援(第12条)では、バイオ医薬試行企業と物品の「ホワイトリスト」への加入を申請できるほか、研究開発用の食品や化粧品サンプルの通関円滑化を享受することができる。人材雇用(第15条)では、上述の基準で認定された企業に勤務する外国籍の上級管理職および家族に居留、医療サービス、人材マンション(注)の申請などの際に便宜を提供する。出入国手続きの利便化(第16条)では、外国籍の職員が頻繁に一時入国をする必要がある場合、一度の在留期間が180日以下の駐在ビザ(有効期間は最長5年間)を申請できる。また、長期駐在する必要がある外国籍の職員は、有効期間が3~5年間の居留許可を申請できる。さらに、外国籍の上級管理職は、「外国人永久居留証」の申請が優先して処理される。知的財産権の面(第17条)では、知名度があり、権利侵害が多い商標を「上海市重点商標保護リスト」に加入させることが可能となる。

(注)中国語では「人材公寓」。高度人材向けの賃貸専用住宅。

(宋青青)

(中国)

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