知識集約型などがアフリカのサービス貿易を牽引

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年11月22日

国連貿易開発会議(UNCTAD)は11月18日、アフリカのサービス貿易額の推移について調査結果を発表した。ホテルやツアー観光などがサービス輸出の中心となるアフリカにおいては、新型コロナ禍でサービス輸出額が急減、2020年には前年の3分の1まで減少し、2021年には回復したものの、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には及ばない。しかし、サービス輸出のうち、保険、金融、情報通信、研究開発、経営コンサルティングなどを含む、知識集約型サービス(注)は新型コロナ禍でも成長を続けている(添付資料図参照)。

アフリカの知識集約型サービスの輸出額は、2019年に輸送と並び、2020年には輸送と旅行を追い抜いた。UNCTADによると、2021年のアフリカにおける同サービス輸出の伸び幅は17.3%で、アジア(16.5%)や北米(11.2%)などを抑え、世界最大だった。他方で、同サービスの世界輸出におけるアフリカのシェアはわずか0.9%で、シェアの半分以上を欧州が占め、次いでアジア(25%)、北米(18%)となっている。また、アフリカの中でも国によって格差が大きく、例えばガーナは70億ドル以上の同サービスを輸出しているが、アフリカ54カ国のうちほぼ半数は1億ドル以下の輸出にとどまっている。

世界における2021年のモノの貿易額は22兆3,000億ドルで、サービス貿易の6兆1,000億ドルを依然として大幅に上回っている。しかし、サービス貿易の成長は著しく、10年前と比較した増加率は、サービス貿易(35.7%)がモノの貿易(21.8%)よりも約14ポイント大きい。UNCTADは、サービス貿易を、原材料輸出に依存するアフリカ各国の経済の多角化に貢献し、雇用を創出する重要な産業だとしている。

(注)2010年国際収支サービス分類(EBOPS 2010)のうち、保険・年金サービス、金融サービス、電気通信・コンピュータ・情報サービス、その他のビジネスサービス、個人・文化・娯楽サービスを指す。

(天神和泉)

(アフリカ)

ビジネス短信 60e65cd3b7024ebc