投資委員会、5カ年投資促進戦略と新投資奨励策の概要を発表

(タイ)

バンコク発

2022年11月11日

タイ投資委員会(BOI)は11月4日、2023~2027年の5年間を対象とする新たな「5カ年投資促進戦略」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(10月17日公表)で推進する新投資奨励策の概要を説明した。同戦略では以下3つのコンセプトを掲げ、国家の長期的な競争力向上につながる「新しい経済」を構築する計画だ。

  1. イノベーティブ(Innovative):テクノロジー、イノベーション、クリエーティビティーを基盤とする経済
  2. コンペティティブ(Competitive):競争力・適応力があり、国家の高成長に貢献する経済
  3. インクルーシブ(Inclusive):社会的・環境的な持続可能性を考慮、新たなビジネス機会を創出しつつ、不平等をなくす経済

また「新しい経済」の構築に向けて7つの具体的な方針を示した。

  1. ポテンシャルがあり、サプライチェーン強靭(きょうじん)化に貢献する新産業の構築、既存産業を高度化
  2. 産業のスマート化、サステナブル化
  3. 国際ビジネスの拠点と、地域の貿易投資のゲートウエーしてのタイの機能強化
  4. 中小企業、スタートアップの競争力強化
  5. 国内各地域の特性を踏まえた投資の奨励と均衡ある発展
  6. 地域社会(コミュニティー)の発展につながる投資の奨励
  7. 競争力のあるタイ企業の海外投資支援

BOIは、この「5カ年投資促進戦略」の公表に補足するかたちで、11月4日に新たな投資奨励策の概要も発表した。同奨励策は、高度な技術とイノベーションを中心に競争力を向上させ、より強固な産業基盤を構築するという同戦略の狙いを反映している。主な内容は次のとおり。

  • 国家発展に重要な産業への投資奨励措置
  • 競争力創出のための投資奨励措置
  • 既存の事業拠点の継続、拡大のための投資奨励措置
  • ビジネス拠点移管を奨励する措置
  • 新型コロナウイルスの影響などからの経済回復期間における投資刺激措置
  • スマート、サステナブル産業を推進する奨励措置
  • 中小企業投資奨励措置
  • ターゲット地域(経済特区など)への投資奨励措置

ナリット・テートサティーラサックBOI長官は11月4日の記者会見で「新しい奨励措置は2023年1月から有効になる」と発言。また「バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済やデジタル分野など、新産業への投資を奨励するため、現在7分類となっている奨励対象業種を10分類に増やす。また、恩典の手厚さを示す等級も、現行の最上位『A1(法人税8年免除)』の上に、新たに『A1+』を追加する。サプライチェーンの川上に位置する産業で、かつ高度技術/イノベーションを導入、教育機関との技術提携を行う事業に対して、10~13年の法人税免除恩典を付与する予定」と説明した。恩典の詳細は、今後の発表を待つ必要がある。

(亀田周、今泉美里)

(タイ)

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