オーストラリアとニュージーランド、第3四半期のCPI高水準が続く

(オーストラリア、ニュージーランド、オセアニア)

シドニー発

2022年11月15日

オーストラリア統計局(ABS)は1026日、2022年第3四半期(79月)の消費者物価指数(CPI)上昇率は前期比1.8%と発表した。第1四半期(13月)の同2.1%からやや低下したものの、2022年第1~第3四半期はいずれも財・サービス税(GST、注)が導入された2000年以降で最も高い水準だ。前年同期比では7.3%上昇した。1990年以来32年ぶりの高い水準にある。

CPI上昇の最も大きな要因は、新築住宅(前期比3.7%上昇)、ガス(同10.9%上昇)、家具(同6.6%上昇)だった。新築住宅について、住宅建設業界の人手不足で労働コストの上昇や建築資材の不足が続き、さらなる価格上昇が起きている。ガスについては、各州・地域で毎年行われる年次価格改定でガスの卸売価格が上がり、価格上昇分が小売価格にも反映して消費者に転嫁した。電気料金は前期比3.2%上昇した。西オーストラリア州やクイーンズランド州、首都特別地域では、住民への電気代負担軽減策が実施されたため、電気料金の高騰を相殺したかたちとなった。ABSは、これらの制度がなかった場合は、電気料金は前期比15.6%の上昇になったと推算した。

食品価格の上昇(前期比3.2%)は、加工原料、賃金、輸送コストの上昇が影響した。外食や持ち帰り食品の価格上昇(2.9%上昇)が継続している。生鮮品価格の上昇も続いており、果物(6.6%上昇)、野菜(2.9%上昇)の価格上昇の要因は、投入原価の上昇や天候不順によるものだった。

自動車用燃料は原油価格の下落を受けて、前期比4.3%低下した。2020年第2四半期(46月)以来約2年ぶりに下落に転じた。

ニュージーランドでは、前期比2.2%上昇

ニュージーランド統計局は1018日、2022年第3四半期のCPI上昇率は前期比2.2%と発表した。前年同期比では7.2%上昇した。主に食品(前期比4.1%上昇)、住宅・光熱費(2.3%上昇)、輸送費用(1.7%上昇)などの価格上昇が影響した。食品は、特に野菜価格が前期比24%上昇した。また、輸送費用については、中でも国際線の航空価格が前期比20%上昇した。

(注)GSTはオーストラリア国内で消費されるほぼ全ての商品、サービスに課される税金。税率は取引価格の10%〔GST(商品サービス税):オーストラリア参照〕。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド、オセアニア)

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