米ペンシルベニア州、知事選と上院選で民主党が当選確実

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月10日

11月8日に行われた米国の中間選挙で、激戦州の1つとして注目されたペンシルベニア州の知事選では、民主党のジョッシュ・シャピロ氏(州司法長官)が共和党のダグラス・マストリアーノ氏(州上院議員)を破って当選確実とした。現職のトム・ウルフ知事(民主党)は2015年から4年の任期を2期務め、間もなく任期を終える。ウルフ知事は選挙前、シャピロ氏と副知事候補のオースティン・デービス氏の選挙活動に加わり、「もしも彼らが当選しなければ、大変なことになる」と発言していた。

マトリアーノ氏は「2020年の大統領選は盗まれた」と発言する1人で、ドナルド・トランプ前大統領を支持し続け、トランプ氏もまた、予備選挙前にマトリアーノ氏を支持すると表明していた。一方、2017年から州司法長官を務めているシャピロ氏は、同氏のウェブサイトによると、2020年の大統領選挙では、市民の投票権の保護やペンシルベニア州の投票結果の弁護に貢献し、選挙日前後に何十回も法廷で勝利を収めたとしている。

また、同州の2議席中1議席を競う連邦上院選では、州副知事を現在務めるジョン・フェッターマン氏(民主党)と、ドナルド・トランプ前大統領が支持するメフメト・オズ医師(共和党)の間で激戦が繰り広げられたが、フェッターマン氏が当選確実となった。

フェッターマン氏は、同氏のウェブサイトによると、ハーバード大学卒業後、故郷ペンシルベニア州の中で最も貧困問題が大きいとされる地域の1つブラドック市に移り、教育問題に対応した。その後、同市長を務め、かつて鉄鋼の町として繁栄したこの地域を崩壊から再建するために尽力した。

オズ氏は「ドクター・オズ」の名でテレビ番組に出演していたことで国民の間では知名度は高いが、近年、霊媒師や「奇跡の栄養剤」など、医学に反した説を広めたために、医学界や米主要メディアから非難され、2015年には米国立医学図書館のウェブサイトで「ドクター・オズの誤りについて」という報告書が紹介されている。同氏は2022年4月には、教壇に立っていたコロンビア大学からも関係を絶たれたとする報道も出ている。

同州の連邦上院の議席は2つで、これまで民主党と共和党で1つずつ占めていたが、これで民主党2議席となる。

なお、同州の連邦下院議席全17議席中、民主党が9議席、共和党が8議席と選挙前の勢力から変更なく、ほとんど現職議員が当選する結果となった。

(吉田奈津絵)

(米国)

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