日本などEU・EFTA以外から入国時の新型コロナ関連の証明書提示義務を解除

(スペイン、日本)

マドリード発

2022年11月01日

スペイン政府は10月21日から、日本を含む、EUとEFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)以外から入国する際の新型コロナウイルス関連のワクチン接種証明書や、回復証明書、陰性証明書の提示義務を撤廃した。スペイン渡航者向けの健康状態申告書(SpTH)の登録義務は既に9月下旬に廃止しており、今回の措置で新型コロナ関連の入国規制を全て解除した。

EU・EFTAからの入国者については、夏季バカンス期の開始に合わせて6月上旬に全ての規制を撤廃済みだった。これまでスペインは西欧主要国で唯一、日本からの入国に規制を設けていた。

今後、感染状況が再び悪化した場合は、入国規制を再開する可能性があるとし、その際に有効なワクチン証明書の定義について、以下のとおり一部変更した。

ワクチン接種証明書:有効期間は「初回接種(1、2回目)」の最終接種日14日後から270日以内。270日経過後は「ブースター接種」が必要。ブースター接種は接種日当日から有効で、有効期間は設けていない。18歳未満については、初回接種から270日経過後も有効とする。

回復証明書と陰性証明書の定義は、従来(2022年5月27日記事参照)から変更はない。いずれにせよ、現時点で上記の証明書の提示は不要となっている。

インバウンド観光客数、新型コロナ禍前の8割まで回復、夏以降は鈍化

国家統計局(INE)によると、2022年1~8月の国外からの観光客数は、新型コロナ禍前の2019年同期比で17.2%減(4,809万人)となった。うち、欧州と米州からの観光客数はそれぞれ15.1%減、15.6%減だった。主要市場の英国やドイツ、イタリアが伸び悩んだほか、北欧諸国や米国からの観光客の回復が遅れ、ロシアからの観光客の急減も響き、ピークとなる夏以降、観光客数の回復ペースは鈍化した。

欧米以外の地域は同47.9%減と、まだ新型コロナ禍前の半数程度にとどまっている。観光業界団体エクセルトゥール(EXCELTUR)によると、7~8月の日本からの観光客は宿泊数ベースで72.1%減と、依然として低調だ。また、ロックダウンが断続的に続いている中国からの観光客が途絶えていることも影響が大きいとしている。

EXCELTURは夏以降のインバウンド観光の回復鈍化について、感染状況だけでなく、世界的なインフレや為替変動、トルコをはじめとする競合市場への流出、ロシアのウクライナ侵攻など、さまざまな要因を挙げている。今回の入国規制解除による欧州域外からの観光客の呼び戻しに、あまり大きな期待は見られない。

(伊藤裕規子)

(スペイン、日本)

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