3年半で5回目の総選挙、ネタニヤフ元首相が政権復帰へ

(イスラエル)

テルアビブ発

2022年11月04日

イスラエルで11月1日、総選挙(注)が実施された。国会に相当するクネセトの議員を選出するもので、直近約3年半で5回目の総選挙となった。中央選挙管理委員会や報道各社の速報によると、ベンヤミン・ネタニヤフ元首相が率いる右派「リクード」が32議席を獲得して第1党となり、親ネタニヤフの右派政党との連立で定数120の過半数となる61議席以上を獲得する見込み(添付資料表参照)。

今回の選挙は、2021年6月に反ネタニヤフで一致した連立内閣の発足により下野したネタニヤフ元首相が右派政党と連立政権を樹立し、首相に復帰するかが最大の焦点だった。

3日午前10時(現地時間)時点の開票率は92%。「タイムズ・オブ・イスラエル」紙によると、投票率は71.3%で、2015年の総選挙以来の高水準だった。第1党のリクードは改選前議席数から2議席増やし、ヤイル・ラピッド現首相が率いる中道の第2党「イェシュ・アティド」も7議席増やしたが、親ネタニヤフで極右政党の「宗教シオニズム」「シャス」(右派、ユダヤ教超正統派)などが獲得議席を増やした結果、リクードを中心とした右派政権が樹立される見通しだ。

反ネタニヤフで連立政権を構成していた「ナショナル・ユニティ」(中道)、「イスラエル・ベイテイヌ」(中道右派)、労働党(左派)は議席を減らし、メレツ(左派)とユダヤ人の家(右派)は議席獲得のための最低得票率(3.25%)を得られず議席を失うとみられる。

イスラエルに極右を含む右派政権が誕生することについて、パレスチナやイランなどに対して強硬な政策に傾き、地域の緊張が高まるのではないかとの見方が出ており、今後の政権運営が注目される。

(注)イスラエルのクネセトは、定数120の一院制で、全国1区の比例代表(拘束名簿式)によって選出される。

(廣田新)

(イスラエル)

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