第3四半期のGDP成長率は前年同期比0.3%、経済失速が顕著に

(チリ)

サンティアゴ発

2022年11月28日

チリ中央銀行の発表(1118日)によると、2022年第3四半期(79月)の実質GDP成長率は前年同期比0.3%で、2021年第1四半期以来となる低調な成長率となった。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需が前年同期比1.5%減だった(添付資料表1参照)。内需がマイナス成長となったのは、2020年第4四半期以来のことで、民間消費の落ち込みが減少に直結した。これは、主に衣類や食料品、テクノロジー製品の消費減が影響している。一方で、政府消費は4.0%増となり、主に教育サービスや医療サービスへの支出が増加した。

総固定資本形成は、前年同期比2.2%増で、主に発電プロジェクトのための電気機械・設備やバス、トラックへの投資増により、設備投資が4.8%増となった。

財・サービスの輸出入では、輸出が前年同期比4.1%増、輸入が2.7%減だった。輸出の増加はサービスの輸出増によるもので、主に観光サービスと運輸サービスが増加した。輸入の減少は主にコンピュータやテレビなどのテクノロジー製品や電化製品の輸入減により、財の輸入全体が減少したことに起因している。

経済活動別にみると、全体の成長率への寄与率が高かったのは個人サービス(寄与率:113.8%)、運輸(88.2%)、電気・ガス・水道(52.5%)の順だった(添付資料表2参照)。個人サービスは、主に教育、文化活動、余暇活動の増加によるもの。運輸は、比較対象の前年同期が「新型コロナ禍」の各種規制の影響下にあった反動もあり、陸上旅客輸送や航空輸送が増加した。電気・ガス・水道は、前年同期に比べて、水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電が促進されたことで増加しており、ガソリンや石炭などの燃料を使用した火力発電からの転換が進んだ。

一方で、鉱業や商業は、前年同期比でマイナス成長となった。鉱業は、主要鉱山における銅の採掘減により4.9%減、商業は、小売業、卸売業ともに減少し、国内の自動車販売も落ち込んだため、9.6%減となった。

中央銀行は9月に発表した金融政策報告書で、2022年通年のGDP成長率は1.752.25%のプラス成長になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 1b5fd047c9f16e97