米州機構、民主主義体制維持支援要請に基づきペルーに調査団を派遣

(ペルー)

リマ発

2022年11月22日

米州機構(OAS)は11月16日、汚職疑惑の追及を受けるペドロ・カスティージョ大統領からの民主体制維持のための支援要請(注1)に基づき、加盟国閣僚級で構成されたハイレベルグループの調査団をペルーに派遣すると発表した。11月20日に閣僚級メンバー8人(添付資料表参照)で構成された調査団が現地入りした。調査団は11月23日まで滞在し、内閣、議会の与野党双方、パトリシア・ベナビデス検察官(注2)を含む司法当局など政府関係者のほか、民間企業団体、市民団体、労働組合、宗教団体などへのヒアリングを予定している。

カスティージョ大統領による要請は、10月にペルー国家検察庁が議会に対して提出した同大統領への汚職疑惑についての訴状(2022年10月19日記事参照)に対抗する措置であり、訴状の提出は民主的な政権運営の妨害だとしてOASの仲介を要請したものだ。議会中道派のアリアンサ・パラ・エル・プログレッソ(進化のための同盟:APP)党のアレハンドロ・ソト議員は「ヘスティオン」紙に対して、同党もOASとの面談を予定していることを明かし、「政権が主張するクーデターなどが存在しない証拠を持参する」と述べた。

OASは調査団が収集した情報に基づき、常任委員会がペルーの現状分析を行い、加盟各国への報告を行うとしているが、最終的にペルー政府や関係者に対する介入は行わないとしている。

(注1)2001年9月11日にペルーのリマ市で採択されたOASの民主主義憲章(Carta Democrática Interamericana)第17条および18条に基づき、加盟国政府が自国の民主主義的な政治制度プロセスが脅かされた場合に、OASに対して民主体制維持のための支援要請を行うことができる。また、OASは要請国の許可に従って調査団を派遣し、情勢評価を行うことができるとしている。

(注2)議会に、カスティージョ大統領に対する訴状を提出した国家検察官。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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