ASEAN中国FTA(ACFTA)3.0の交渉を正式に開始
(ASEAN、中国、オーストラリア、ニュージーランド)
バンコク発
2022年11月28日
第25回ASEAN中国首脳会議が11月11日に開催され、ASEAN中国自由貿易協定(ACFTA)のアップグレード版である「ACFTA 3.0」に向けた交渉開始を正式に発表した。ACFTAを高度化することにより、ポストコロナ期における、ASEANと中国の経済関係をより深化・拡大させることを目指す。
ASEANとダイアログパートナー(対話国・地域)とのFTAである「ASEAN+1 FTA」の中でも、ACFTAは発効が最も早いFTAだ。2005年に協定が発効、2019年には原産地規則の変更等に伴い改定議定書も発効している(ACFTA 2.0)。
今回の発表によると、ASEANと中国は、ACFTAを現在のビジネス形態により適応したものへと改定、また将来的に発生しうる全世界的な課題にも対応できる内容にするという。具体的には、デジタル経済、グリーン経済、サプライチェーンの連結性、消費者保護、中小企業などの項目を盛り込む。そして、ASEANと中国の双方にとって有益な協定となるよう、両者が関心を持つ分野を内容に含めていく計画だ。
AANZFTAもアップグレードへ
なお、2020年から開始さていたASEANオーストラリア・ニュージーランドFTA(AANZFTA)のアップグレード交渉も、11月13日の第40回・第41回ASEAN首脳会議において実質的に妥結された旨が発表され、2022年のASEANの主要経済成果物の1つとなった。AANZFTAの締約国は、2023年での最終的な署名を目指す(タイ商務省・貿易交渉局発表)。
アップグレード版のAANZFTAも、ACFTA 3.0と同様に、高い水準の自由化レベルを有する協定を維持し、ビジネスフレンドリーであり、かつ新型コロナ禍からの経済回復に寄与し、世界全体や地域の課題に対応できる協定に改定する。具体的には、透明性の向上、輸出入にかかる費用や時間の削減、貿易手続き円滑化のための技術的なソリューションの利用、デジタル技術、持続可能な開発、教育サービス分野における協力、政府調達を含む幅広い経済活動への零細・中小企業の参加促進などの内容を盛り込む。また、非常事態における必要物資の円滑な流通の維持など、サプライチェーン上のリスク管理も協定の対象とする。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(ASEAN、中国、オーストラリア、ニュージーランド)
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