国営企業省、スタートアップ企業250社との協業支援

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年10月05日

インドネシアの国営企業(SOE)省は92628日、スタートアップの成長促進を目的に「国営企業スタートアップデー2022」を開催した。250社のインドネシアのスタートアップに対し、国営企業22社とのビジネスマッチングや事業提案の機会を提供した。

開会式に出席したジョコ・ウィドド大統領は「約89割のスタートアップが事業成功に至っていない。国営企業が運営するベンチャーキャピタル(VC)による支援や協業促進により成長を支援したい」との考えを示した(「CNNインドネシア」926日)。また、エリック・トヒル国営企業相は「政府や国営企業だけでは十分な雇用を創出することはできない。雇用機会を提供・拡大するためにも、スタートアップの成長を促進する」と述べた(「アンタラ通信」927日)。

今回のイベント実施の背景として、スタートアップにとって国営企業との協業は、自社にないリソースを活用して事業を拡大させる契機となり得る一方、国営企業にとっては新たなビジネスモデルや技術を試行する機会となる点がある。エリック国営企業相は今回のイベント立ち上げに当たり、「インドネシア人が設立し、インドネシアで活動し、インドネシアに税金を払い、インドネシア人の雇用を創出し、インドネシア証券取引所(IDX)上場を検討するスタートアップの発展を奨励する」とも述べていた(8月23日付国営企業省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。国営企業省としては、イベントなどの開催を通じて国営企業からスタートアップへの関与を高めつつ、将来的には、IDXに上場しているブカラパックやGo Toグループに続く企業を生み出したい狙いがある。

ビジネスマッチングには金融やヘルスケア、食品、物流など多岐にわたる業種から参加があった。バイクで冷蔵品の即日配送サービスを手掛けるインドネシア企業Superkul Amerta Indonesiaはジェトロに対し、「対象エリアの拡張、バイク台数の増加、大手物流企業との連携などを通じて事業規模を拡大するため、VCから投資を募りたい」と述べた。

写真 国営企業との戦略的連携について語るスタートアップ関係者ら(ジェトロ撮影)

国営企業との戦略的連携について語るスタートアップ関係者ら(ジェトロ撮影)

(八木沼洋文)

(インドネシア)

ビジネス短信 fc287f3c08cfdd8b