石油・ガス世界大手「OGCI」、海運団体と大規模な船上CO2回収実証プロジェクトに着手

(米国、スウェーデン)

ヒューストン発

2022年10月11日

世界的な石油・ガス開発企業12社で構成する「石油・ガス気候変動イニシアチブ」(OGCI、注1)は10月5日、世界的な海運・エネルギー関係の19のパートナーで構成する「海上脱炭素化グローバルセンター」(GCMD、注2)、スウェーデンのタンカー船社ステナバルクと、大規模な船上二酸化炭素(CO2)回収を実証する2年間のプロジェクトに着手したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、同プロジェクトでは、船上で30%以上のCO2回収、すなわち毎時約1,000キログラムのCO2回収を目標に、CO2を回収する際の運用上の課題を評価するため、ステナバルクの中距離タンカーに船上CO2回収システムを搭載して試験するとしている。また、船上でのCO2回収のコストを1トン当たり150ユーロ以下に低減し、将来的にこの技術の商業化を確立することも目指している。プロジェクトは船上でのCO2回収・貯留のみならず、船から陸までのCO2排出削減を考慮したCO2利用・貯留も対象とする予定だ。これにより、バリューチェーン全体にわたって船舶によるCO2回収を実証する。

実証の進展に応じて、3つの段階を設けており、第1段階では船上CO2回収システムの概念設計と前工程設計(FEED)、第2段階では船上CO2回収システムのプロトタイプの設計・調達・建設(EPC)を行う。第3段階では船上CO2回収システムをステナバルクの中距離タンカーに搭載し、海上で試運転をする。

(注1)Oil and Gas Climate Initiative。パリ協定を明示的にサポートし、気候変動への業界対応を加速させることを目的として、2016年に設立され、10億ドル以上のファンドを有している。構成メンバーは、アラムコ、シェブロン、エクイノール、エクソンモービル、ペトロブラス、シェル、トタルエナジーズなど12社。

(注2)Global Centre for Maritime Decarbonisation。海事産業の温室効果ガス(GHG)排出量削減を目的として、2021年に設立された。構成メンバーは、シンガポール海事港湾庁、シェブロン、bp、オーシャン・ネットワーク・エクスプレスなど19のパートナー。

(沖本憲司)

(米国、スウェーデン)

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