1~9月の港湾貨物取扱量、前年同期比で微減、政府は新ルート開発へ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年10月27日

ロシア商業海港協会の発表(10月12日)によると、2022年1~9月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比0.5%減の6億1,920万トンだった。極東の港でのコンテナ貨物取扱量が好調だ。政府は東方面を含めて新たな輸送ルートの整備に着手する考えだ。

品目別でみると、コンテナ貨物が前年同期比25.0%減の一方、原油と液化ガスがいずれも2桁の伸びを記録した。海域別では、取扱量全体の約3割を占めるバルト海域での減少が全体の減少に寄与した。

コンテナターミナル運営大手グローバル・ポーツの発表(10月14日)によると、同社が所有するターミナルの1~9月のコンテナ貨物取扱量は前年同期比31.7%減の81万3,000TEU(1TEU=20フィートコンテナ換算量)だった。サンクトペテルブルク大港にある第1コンテナターミナルと、ペトロレスポルトがいずれも半減する一方で、極東のナホトカにあるボストチヌィ港コンテナターミナル(VSC)は16.4%増の45万7,000TEUだった。

極東の港向けの輸出用貨物の輸送も増えている。ロシア鉄道のオレグ・ベロゼロフ社長によると、非石炭貨物が2022年初以降の実績で前年同期比5.3%増、うち鉄鋼が12.8%増、コンテナ貨物が36.2%増だった。貨物の内容がこれまでの主要貨物だった石炭から、西側市場を失った高付加価値貨物に替わってきているという(物流ビジネス情報サイト「RZDパートナー」10月13日)。

ミハイル・ミシュスチン首相は10月18日、関係閣僚やロシア鉄道社長らをメンバーとする鉄道インフラ発展に関する会議を開き、東方面への輸送強化のため、バイカル・アムール(バム)鉄道とシベリア鉄道の輸送能力を現在の1億6,000万トンから2024年までに1億8,000万トンに引き上げる必要があると訴えた。また、首相は「これまでにない制裁に直面する企業を支援するため、政府は新しい輸送ルート創出に注力する」とも述べ、アゾフ・黒海方面への輸送ルートや、ロシアからイラン、インドにつながる国際輸送路「北-南」を挙げ、これらルートでの輸送量も引き揚げる考えを示した。

インフラニュース(10月13日)によると、9月単月のロシア海港の貨物取扱量は前年同月比4.9%減の6,593万6,000トンで、3カ月ぶりに減少に転じた。海域別でみると、カスピ海域は5.6%増だったが、他の海域では軒並み減少した。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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