2022年の半導体産業生産額、過去最高額を更新の見込み

(台湾)

中国北アジア課

2022年10月07日

台湾経済部統計処は105日、2022年の半導体産業の生産額が過去最高額を更新する可能性があると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同年の台湾の半導体産業の生産額は、17月累計で前年同期比32.2%増の2465億台湾元(約94,139億円、1台湾元=約4.6円)に上り、過去最高額を記録した前年に続いて増加する見込み。

同発表によると、ファウンドリーが半導体産業の生産額の増加の牽引役となっている。半導体が関連する商品の需要が旺盛、かつ端末の半導体利用量が増加したことに加え、半導体の供給不足や価格の高騰もあり、ファウンドリーの生産額は2021年まで10年連続プラス成長を続けている。17月は前年同期比39.9%増の13,995億台湾元で、同期としては過去最高額を記録した。このほか、パッケージングおよびテストの17月の生産額は21.3%増の3,912億台湾元、揮発性半導体記憶装置(DRAM)は同14.1%の1,136億台湾元だった。

また、集積回路の輸出額は18月に前年同期比26.5%増の1,240億ドルで、輸出総額に占める割合は37.6%に上った。輸出先の国・地域別の構成比をみると、中国(香港を含む、以下同)が58.4%、シンガポール11.7%、日本8.0%だった。うち中国の構成比は前年同期(61.3%)から2.9ポイント低下。中国向けの集積回路の輸出は、金額では増加が続く一方で、構成比は低下傾向にある。台湾経済部は、米中間の科学技術競争の影響に加え、新型コロナウイルスの流行に伴う封鎖管理や景気後退を受けてサプライチェーンの下流の製品の生産能力が影響を受けたと分析している。他方、グローバルサプライチェーンの移管の動きを受け、同期のマレーシア向けの輸出額が58.2%増だったことも紹介した。

経済部は2022年の台湾の半導体産業の見通しについて、世界的なインフレや端末需要が鈍化に転じることにより、産業チェーンの在庫調整が半導体産業に次第に影響を及ぼす可能性があると指摘。他方で、高性能コンピュータや車用電子部品などの分野の成長により、こうした負の影響が相殺され得るとも評価した。また、台湾の半導体大手が産業の長期的な発展に対応すべく、生産工程の先進化や研究開発の強化を行っていることから、台湾の半導体産業の年間生産量は前年に引き続き過去最高を更新する見込みとの予測を示した。

(柏瀬あすか)

(台湾)

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