サッカーW杯の国外観戦などに備え、外貨流出防止措置を導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年10月17日

アルゼンチン政府は10月13日、政令682/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます公共歳入連邦管理庁(AFIP)一般決議5272/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、300ドル以上のクレジットカードやデビットカードによる国外での支払いに課する税率を引き上げた。

利用額が300ドル未満の場合は従来どおり、包括連帯税(通称:パイス税)30%と所得・個人資産税45%が課税される。300ドル以上の場合はこれらに加えて、所得・個人資産税に25%が加算される。国内の旅行代理店を通じた国外の旅行サービス購入や、国際輸送サービス利用料の支払いは、利用額が300ドル未満の場合でも25%の加算税の対象となる。消費の内容によっては所得・個人資産税の控除対象となり、還付を受けることができる。

300ドルの上限はクレジットカードごと、あるいはデビットカードごとではなく、1人当たりの上限。利用額が300ドルを超えた場合、超過分だけでなく利用額全体に25%の加算税が課される。従って、利用額が300ドルを上回った場合の利用額の現地通貨ペソ換算レートは、公式為替レート(10月13日時点)1ドル157.25ペソの2倍の314.50ペソが適用されることになる。

これには、国民の外国旅行による外貨流出を防ぐ狙いがある。11月から12月にかけて開催されるサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会観戦のために多くのアルゼンチン人が同国を訪れることが予想されることから、報道などでは、今回の措置が適用される為替レートを「カタール・ドル」と呼んでいる。

政令682/2022号は、非居住者が国内で提供する文化や娯楽サービス、例えば、外国人アーティストによるコンサートを開催するために外貨を支払う場合、包括連帯税30%を課税することを定めた。従って、卸売り為替レート(10月13日時点)1ドル151.32ペソの30%増しの197.72ペソが適用される。報道などでは、この為替レートは「文化ドル」と呼ばれている。

ぜいたく品の輸入にも包括連帯税30%、所得・個人資産税45%とその加算税25%が課される。「カタール・ドル」と同様の為替レートが適用され、報道などでは「ぜいたくドル」と言っている。対象品目は政令682/2022号の付属書Iにメルコスール対外共通関税分類番号(NCM)で規定されている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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