中銀、政策金利を1.0%へ引き上げ

(タイ)

バンコク発

2022年10月03日

タイ中央銀行(BOT)は928日、金融政策委員会を開催し、政策金利を現行の0.75%から1.00%に0.25ポイント引き上げることを決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。段階的な政策金利の引き上げが適切な金融政策の方向であると判断し、全会一致で政策金利を0.25ポイント引き上げた。

BOTの発表によると、タイの経済成長率は主に観光業の回復と個人消費に牽引され、2022年に3.3%、2023年に3.8%と成長が続くと予測。2022年の成長見通しについては前回(6月時点)の予測を据え置いたが、2023年は前回予測の4.2%から下方修正した。サービス業を中心に景気回復の幅が広がる一方、世界経済の減速がタイの輸出に影響を与えているとした。

ヘッドライン・インフレ率(総合インフレ率)については、2022年は6.3%(前回予測6.2%)、2023年は世界的な原油価格の下落やサプライチェーン上の課題が緩やかに解決されることで、2.6%(同2.5%)に低下すると予測した。コア・インフレ率は、2022年は2.6%(同2.2%)、2023年は2.4%(同2.0%)と予測し、主にコスト増の価格転嫁が進むことを背景に、前回予測より上昇すると予測した。一部の産業部門や地域で労働力不足による賃金上昇が見られるものの、広範な賃金上昇の兆候はなく、タイ経済はまだ回復段階にあることから、需要サイドのインフレ圧力は限定的とした。一方、中期的なインフレ予測は引き続き目標範囲内にある。金融政策委員会は、コストの価格転嫁の増加の可能性など、インフレに対するリスクを引き続き注意深く監視していくとした。

同委員会はまとめとして、タイ経済は、インフレのリスクはあるものの、引き続き回復し続けると判断。政策金利は段階的かつ慎重に、長期的に継続可能な成長と調和した水準に調整されるべきとした。また、経済成長とインフレの見通しが現在の評価から変化した場合、政策正常化の規模とタイミングを調整する用意はあるとした。

(藤田豊)

(タイ)

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