2,800品目が非自動輸入ライセンス対象に、広範な完成品輸入に多大な影響も

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年10月06日

アルゼンチン政府は10月4日、経済省商業庁決議26/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、メルコスール対外共通関税分類番号(NCM)8桁ベースで約2,800品目を、非自動輸入ライセンス(LNA)の対象品目に指定した。翌日施行した。LNAの取得対象には、多くの国内生産品が指定されており、これにより国内産業を保護している。全てのLNA対象品目は、決議の別添(Anexo)で確認できる。

同決議によると、今回の措置は、乏しい外貨を資本財や中間財など国内生産に必要な財の輸入に集中して充てることを目的としている。政府は「必要性や緊急性がない輸入が無数に行われている」と指摘しており、その例として高圧洗浄機、ゴルフクラブ、スキー板、アイススケート靴などを挙げた。現地紙「エル・クロニスタ」(電子版9月26日)によると、決議の公布に先立つ9月22日、セルヒオ・マッサ経済相とホセ・デ・メンディグレン商業庁長官はアルゼンチン工業連盟(UIA)を訪れ、国内生産を優先するために多くの「完成品」をLNAの対象品目に指定すると伝えていた。また、メンディグレン長官は同紙の取材に対して「多くの完成品がLNAになる可能性を分析している」「雇用や輸出、生産のための原材料を優先させる」と述べていた。対象品目を早い段階で明らかにすると駆け込み輸入が増えることを政府は懸念しており、この段階では対象品目を明らかにしなかった。

今回、経済省商業庁決議26/2022号でLNAの対象となった品目には「完成品」以外の原材料も含まれているとの声が民間企業から上がっている。

例えば、ワインの生産に必要な「オークたる(NCM4416.00.10)」もLNAに指定された。今回新たにLNAの対象に指定された品目をNCM2桁ベースでみると、革製品(NCM42類)、毛皮製品(NCM43類)、木製品(NCM44類)、紙製品(NCM48類)、書籍類(NCM49類)、紡織用繊維およびその製品(NCM50~63類、57類を除く)、履物、帽子、傘、つえ(NCM64~67類)、機械(NCM84類)、電気機器(NCM85類)、鉄道用機関車・車両・部分品(NCM86類)、輸送用機器(NCM87類)、航空機(NCM88類)、船舶(NCM89類)、光学機器・医療機器(NCM90類)、時計(NCM91類)、楽器(NCM92類)、武器および銃砲弾(NCM93類)、雑品・美術品(NCM94~97類)まで広範に指定されている。

NCM8桁ベースで特に対象品目が多いのは、機械(NCM84類)の899品目、電気機器(NCM85類)の564品目となっている。輸送用機器(NCM87類)は、雪上車、ゴルフカート、貨物自動車、特殊用途自動車、原動機付きシャシ、車体、自動車部品、自動式作業トラック、装甲車両などが指定されており、乗用車、モーターサイクルは指定されていない。

LNAの対象品目は輸入許可が下りにくく、かつ現行の資本取引規制においては輸入代金の支払い時期が輸入通関から180暦日になる可能性が高いという問題がある。今回の対象品目の見直しは、完成品の輸入を行う企業に大きな影響を与える可能性がある。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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