ASEAN物品貿易協定(ATIGA)、12年ぶりの改定へ交渉開始

(ASEAN、タイ)

バンコク発

2022年10月19日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は9月27日、カンボジアのシェムリアップで同月14日に開催された第36回ASEAN自由貿易地域(AFTA)評議会の結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同評議会では以下の事項を協議・合意した。

  • ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の改定:2010年から施行されているATIGAを現在や将来の貿易の実態に合わせ、デジタル経済などを踏まえた近代的な内容に高度化させる。ATIGAの改定交渉には、貿易障壁の最小化や、地域のサプライチェーン接続性の強化、零細・中小企業(MSME)の利用拡大といった観点も含まれる。
  • 世界税関機構(WCO)の最新の関税分類番号HS2022への移行に伴い、変更を反映するため、ASEAN統一関税品目分類コード(AHTN)も、各加盟国でAHTN2017からAHTN2022への移行を推進する。
  • 通関に必要な書類(原産地証明書、税関申告書類、植物検疫証明書など)の即時交換を可能な範囲で推進する。同取り組みの進展により、ASEAN域内の通関手続きが迅速化され、企業の時間と費用の節減が期待される。

クラビ県で第1回ATIGA改定交渉委員会が開催

タイのクラビ県で9月29、30日に、ATIGA改定交渉のための貿易交渉委員会(ATIGA-TNC)の第1回会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開催された。同会議は12年ぶりのATIGA改定に向けた作業計画や交渉の方向性の策定を目的としており、ASEAN加盟10カ国の高級実務者が参加した。交渉は2024年内に完了する予定。

DTNによると、(1)原産地規則、(2)税関手続き・貿易円滑化、(3)基準・技術的規則と適合性評価、(4)衛生植物検疫措置、(5)貿易救済措置、(6)制度的取り決めの6つの小委員会が組成され、各委員長が任命された。DTNの代表は(2)と(3)の委員長を務める。また、改定交渉を進めるに当たっての行動規範や、TNCの運営形式、小委員会の結果を検討する仕組みなどについて合意した。

今後、民間企業からの提言を受けるため、共同ビジネス協議会(JBC)が開催される見通し。また、次回のATIGA-TNCは2022年12月に開催される予定となっている。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(ASEAN、タイ)

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