第3四半期の輸出、前年同期比3.4%増、欧米の利上げや米中対立による失速懸念

(台湾)

中国北アジア課

2022年10月12日

台湾財政部が10月7日に発表した貿易統計(速報)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年第3四半期(7~9月期)の輸出は前年同期比3.4%増の1,211億ドルだった。輸入は6.5%増の1,081億ドルで、貿易収支は130億ドルの黒字となった(添付資料「表1 主要国・地域別輸出入」、「表2主要商品別輸出入」参照)。

国・地域別にみると、輸出では最大の輸出先である中国は前年同期比7.3%減の303億ドルだった。中国向けの構成比54.6%を占める電子部品は11.0%増と2桁増を維持した一方で、機械・電機設備光学器材が46.3%減、情報通信機器が24.3%減となったことなどが響いた。ASEANは14.6%増の206億ドル、米国は7.9%増の189億ドル、欧州は0.4%増の103億ドルだった。日本は、構成比48.0%を占める電子部品の輸出が19.4%増と好調だったことから、全体としては9.3%増の84億ドルとなった。財政部の発表によると、2022年1~9月期(累計)の中国、香港、ASEAN、米国、欧州、日本への輸出額は、それぞれ前年同期比で過去最高額を記録したという(注)。

輸入では、中国は前年同期比2.5%減の210億ドルとなった。貴金属および同製品や情報通信機器の輸入減少が影響した。ASEANは9.7%増の141億ドル、日本は、輸入の2割を占める電子部品が減少したことから、12.3%減の129億ドルだった。このほか、米国は15.9%増の120億ドル、欧州は2.8%減の119億ドル、中東は、輸入額の7割近くを占める原油が67.7%増となったことを受け、全体としては46.9%増の99億ドルとなった。

輸出を商品別にみると、第3四半期は輸出総額の4割を占める電子部品が前年同期比9.7%増となったほか、石油製品などの鉱産物が81.5%増、輸送機器が12.8%増、情報通信機器が2.3%増となった。他方、光学器材(33.1%減)、プラスチック・ゴムおよび同製品(18.0%減)、卑金属および同製品(10.9%減)では2桁減だった。1~9月期の累計額では、電子部品(前年同期比21.4%増)や鉱産物(88.0%増)の寄与が目立った。輸入では、第3四半期と1~9月期(累計)ともに、鉱産物の輸入額が大幅に増加した。

今後の見通しについて、財政部は、スーパーコンピュータや車載電子部品、データセンターなどに向けた商機や、端末製品の半導体含有量が高まっていることが貿易の追い風になると分析した。他方、欧米など主要市場の利上げや、各国の製造業の活動が緩やかになっていることに加え、新型コロナウイルス感染拡大リスクや、ロシアによるウクライナ侵攻、米中の技術対立などの不確実性が世界経済の見通しに関する懸念を強めていると指摘。これらの不確実性が台湾の第4四半期(10~12月期)の輸出を大幅に抑制する恐れがあり、今後については十分注視する必要があるとした。

(注)これらの国・地域への輸出額は、2022年1~9月期の輸出総額の86.7%を占めた。

(柏瀬あすか)

(台湾)

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