米TRISO-X、北米初の商業用核燃料の製造施設建設へ

(米国)

ヒューストン発

2022年10月19日

小型モジュール式原子炉(SMR)の技術開発を行う米国のX-エナジーの子会社TRISO-X(本社:メリーランド州ロックビル)は10月13日、テネシー州オークリッジで北米初の商用核燃料製造施設の建設開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。施設は2025年までに試運転を開始する予定だ。

米国エネルギー省(DOE)によると、同施設で製造が予定されるTRISO粒子燃料(注)は「地球上で最も堅固な核燃料」とされている。TRISO-Xのピート・パッパーノ社長は「X-エナジーは供給の確保と品質向上、コスト削減のために、独自のTRISO粒子燃料を製造する」「TRISO粒子燃料は、高温でも溶融しない堅固な核燃料で、これが安全性のカギを握っている」と述べた。

DOEは2020年に、先進原子炉を2020年代末までに開発、建設、実証する先進原子炉実証プログラム(ARDP)にX-エナジーの原子炉技術を選定し、8,000万ドルの初期資金を提供したと発表した。オークリッジの核燃料施設で製造が予定されるTRISO粒子燃料は、2028年までに稼働予定のX-エナジーの小型の高温ガス炉「Xe-100」で使用される予定だ。

パッパーノ社長は「Xエナジーがオークリッジの核燃料施設で製造するこの燃料は、より強固で安全な原子力エネルギーのサプライチェーンを構築し、これまでにない規模の原子力エネルギーの導入を促すものだ」「DOEの支援により、この燃料が安全で革新的な技術の商業開発をリードし、電力網供用規模の次世代原子炉で実証される最初の先進的核燃料の1つになることを誇りに思う」と述べた。

X-エナジーはSMRの商業化加速に向けて取り組みを進めており、9月15日には米国のカーティス・ライトと、X-エナジーのSMRの設計と商業化を進めるためのサプライヤー契約を締結したと発表している(2022年9月22日記事参照)。

(注)U235(ウラン同位体の1つで、広く原子力発電に利用される)の濃縮度が5~20%の高純度低濃縮ウラン(HALEU燃料)を黒鉛やセラミックスで3重に被覆した粒子型の燃料。

(沖本憲司)

(米国)

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