中銀が国債買い入れ対象を拡大、失業率は約半世紀ぶりの低水準

(英国)

ロンドン発

2022年10月12日

英国のイングランド銀行(BOE、中央銀行)は10月11日、英国債購入の対象を物価連動国債にも拡大することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。BOEは9月28日、英国の金融の安定性に対するリスクを軽減するため、長期国債を一時的に購入することを発表していた(2022年9月29日記事参照)。購入は予定どおり10月14日に終了する。

BOEは前日の10日にも追加措置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、1日当たりの英国債購入額を拡大するとしていた。購入額は毎日午前9時に設定する。BOEは、100億ポンド(約1兆6,000億円、1ポンド=約160円)を1日当たりの上限額として購入する用意があるとしている。全ての買い入れは、市場機能へのリスクが収まったと判断した時点で終了する。

そのほか、負債対応投資(LDI)ファンドへの流動性圧力を緩和する一時的な措置の開始も10日に発表、英国の長期国債価格の変動から生じるリスクに対処できるようにする。

6~8月の失業率は3.5%、1974年以来の最低水準

英国国家統計局(ONS)の10月11日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年6~8月の失業率は前期比0.3ポイント減の3.5%で、1974年12月~1975年2月以来の低水準となった。労働力人口に含まれないが失業者にも計上されない、就労も求職もしていない人が増えており、これは学業や長期疾病によるもので、特に50〜64歳と16〜24歳の層で大きく上昇している。

国立経済社会研究所(NIESR)のエコノミスト、ヘイリー・ロー氏は「労働市場の縮小は間違いなく進行中のインフレ懸念に拍車をかけ、金融市場のリスクを回避しようとするBOEにさらなる圧力を加えるだろう」と述べている。

(島村英莉)

(英国)

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