ドイツのレンタカー大手シクスト、中国BYDから10万台のBEV調達

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2022年10月18日

ドイツのレンタカー大手シクスト(Sixt)は10月4日、中国の新エネルギー自動車大手の比亜迪(BYD)と電動車推進の長期協力覚書を締結したと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。連携の第一歩として、シクストは2022年10~12月にBYDから数千台のバッテリー式電気自動車(BEV)を調達、欧州(ドイツ、フランス、オランダ、英国)でレンタカーとして提供する。調達するのは、電動スポーツ用多目的車(SUV)「BYD ATTO 3」の欧州向けモデル。シクストは2028年までにBYDからさらに10万台のBEVを調達する予定だ。

シクストは2022年9月、二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向けて、同社が欧州で保有する車両に占める電動車(注)の割合を2030年までに7~9割まで高める目標を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社の全世界保有車両に占める電動車の割合は2023年末で12~15%となる見込み。2021年に同社が保有する平均車両台数は12万5,300台(フランチャイズ、協力先の車両を除く)。今回のBYDとの協力は、シクストの戦略に適合したものとなる。シクストはドイツ国内で約4割のシェアを占めるレンタカーの最大手で、2021年の売上高は22億8,200万ユーロ。ドイツを除く他の欧州でも特にフランス、スペインなどで強く、西欧における同社シェアは約2割。

一方、BYDも2022年8月に欧州への本格参入を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。具体的には、「BYD ATTO 3」を含む3モデルを2022年10~12月からドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーなどで販売する。今回のシクストとの協力は同社の欧州戦略にもかなったものとなる。

中国のEVメーカーが欧州に進出する動きは顕著だ。BYD以外にも、上海蔚来汽車(NIO)が2021年9月、ノルウェー・オスロに中国以外で初の販売拠点を開設(2021年12月27日記事参照)、2022年にはドイツ、オランダ、スウェーデン、デンマークでの販売開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NIOの特徴の1つの蓄電池交換ステーションも(2022年8月8日記事参照)、2022年9月にミュンヘンとシュツットガルトの間に位置するツースマルスハウゼン(Zusmarshausen)に、ドイツで初めて開設(ドイツ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「ハンデルスブラット」紙(10月4日付)によると、同社は同年末までに欧州で約20の電池交換ステーションを開設する見込みだ。

(注)BEVに加え、プラグインハイブリッド車(PHEV)、マイルドハイブリッド車(MHEV)を含む。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、中国)

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