日本発もみ殻固形燃料、代替燃料として関心集める

(カンボジア)

プノンペン発

2022年10月31日

もみ殻から固形燃料を製造する装置を販売するトロムソ(広島県)は1014日、カンボジアの首都プノンペンから約170キロ離れたコンポントム州の精米工場で、もみ殻を固形燃料化する実証実験を行った。カンボジアの企業や政府関係者が参加し、導入への関心を示した。

もみ殻を固形燃料化した「モミガライト」は、造船技術を応用した特殊なミルで原料のもみ殻を細粉化し、高密度に圧縮することで製造される。トロムソの上杉正章社長によると、モミガライトは連続燃焼時間が長く、薪(まき)と比較して単位当たりの熱量が高いのに対し、1キログラム当たりの製造単価(注1)も抑えられるという。通常、焼却処分されるもみ殻を有効活用し、化学接着剤を使わずに圧縮して固形化するため、燃焼時に有害ガスが発生せず、環境にやさしい点も特徴だという。

モミガライトは通常もみ殻100%を原料としているが、今回の製造実証では、木くずなどの廃材活用を見越し、もみ殻と木くずをそれぞれ50%ずつ原料に使用する試みも行われた。

代替燃料として、カンボジアの縫製会社が導入を検討

国際的に温室効果ガス排出量削減の取り組みが進む中、カンボジアの主力産業である縫製業も、海外消費者やバイヤーから環境負荷の少ない製造工程を求められている。縫製品の製造過程においてボイラーを使用するが、現在はその燃料として一般的に薪や木炭が用いられている。上杉社長によると、カンボジア縫製業協会(GMAC)(注2)加盟企業全体で1日約60トンの薪や木炭が燃料として使用される中、燃焼効率が高く、環境にやさしい代替燃料として、モミガライトの活用が期待されるという。また、GMACは、モミガライト30トン分のテスト運用を開始しており、今後の継続的な利用を検討しているようだ。

今回の製造実証には、カンボジア農林水産省(MAFF)やカンボジア地雷対策センター(CMAC)なども参加し、モミガライトの新たな活用方法に関心を示した。カンボジア政府が2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げる中、薪や木炭に代わるバイオ燃料に多方面から注目が集まっている。

写真 モミガライト製造実証の様子(ジェトロ撮影)

モミガライト製造実証の様子(ジェトロ撮影)

写真 原料のもみ殻(左)と製造されたモミガライト(右)(ジェトロ撮影)

原料のもみ殻(左)と製造されたモミガライト(右)(ジェトロ撮影)

(注1)トロムソによると、カンボジアで生産された薪の製造単価は1キロ当たり0.28ドルなのに対し、モミガライトの製造単価は1キロ当たり0.16ドル。

(注2)カンボジア最大の縫製関連の業界団体。カンボジアで縫製品の輸出をする企業は加盟が必須となっており、カンボジア国内の衣料品、履物、旅行用品製造企業など、約700社が加盟している。

(藤田ゆか)

(カンボジア)

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