バイデン米大統領、単なるマリファナ所持違反者への恩赦発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月07日

米国のジョー・バイデン大統領は10月6日、マリファナを所持していることのみをもって連邦法やコロンビア特別区(DC)法への違反が認定された米国市民・永住権保持者に対して恩赦を与える大統領布告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。中間選挙が約1カ月後に迫る中、中間層を取り込む狙いもあるとみられる。

布告によると、恩赦を与えるのは規制物質法(合衆国法典21章844項)やDC法48章904.01条(d)(1)項に基づき、単なるマリファナ所持だけで法違反が認定された米国市民と永住権保持者とされる。ただし、その他の違反事項に対して恩赦は一切与えないとしている。恩赦の認証の発行については今後、司法長官が手続きを管理するとしている。バイデン大統領は布告発表に合わせた声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「マリファナを所持しているだけで人々を刑務所に送り込むことはあまりに多くの人生を狂わせ、既に多くの州が禁止していない行為によって人々を投獄してきた。また、マリファナ所持による犯罪履歴は雇用や住居、教育の機会に不要な障壁をもたらしてきた」と、恩赦の意義を強調した。その上で、全ての州知事に対して同様の措置を取るよう呼びかけるとともに、保健福祉長官と司法長官に対して、連邦法におけるマリファナの管轄分類を見直す手続きを迅速に開始するよう指示した。現在、マリファナは規制物質法で、ヘロインやLSDと並んで最も危険性が高い分類のスケジュールIに指定されている。

バイデン大統領がこの時期に行政府として歴史上、相当に踏み込んだ薬物関連政策を発表した背景には、11月8日に控える中間選挙があるとみられる。多くの世論調査では、有権者の約3分の2がマリファナの合法化を支持している(政治紙「ポリティコ」電子版10月6日)。ただし、バイデン大統領によると、今回の恩赦の対象者は数千人単位と見込まれており、選挙対策として即効性があるかは不透明だ。また、全米州議会議員連盟(NSCL)のデータ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、37州とDCがマリファナの医療用の使用を合法化しており、うち19州とDCが成人による非医療用の使用も合法化している。

(磯部真一)

(米国)

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