荏原製作所、中長期ビジョンで西アフリカ市場を開拓

(ガーナ、西アフリカ、日本)

アクラ発

2022年10月19日

ジェトロは9月22日、ポンプ製品で日本シェアトップ、荏原製作所のアフリカ市場開発プロジェクトマネジャーの辻󠄀健氏に話を聞いた。同社は東京に本社を置く産業機械メーカーで、これまで海外では34カ国まで拠点を増やしており、その中でアフリカについては、2017年に南アフリカ共和国、2018年にアルジェリア、2022年にはジェトロも活用してケニアに拠点を新設。次は西アフリカ地域に拠点を設立する方針としている。

(問)アフリカ進出の理由は。

(答)新市場として今後の成長が期待できる。今回、ガーナ以外に、ナイジェリアとセネガル、タンザニアを訪問し、地域のニーズに合った製品の提供が重要と感じた。未電化地域で飲料水確保のためのソーラーポンプの提供や、これを活用した灌漑設備の提供で農業の発展支援などを行い、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指して企業価値のさらなる向上を図っていきたい。そのために、リソースの再配分、マーケティング・開発体制の強化、各拠点での取扱機種の拡充やノックダウン機能の追加などに全社的に取り組んでいる。

(問)ガーナ市場の印象は。

(答)ガーナは重要な市場だと考えている。市場には中国製品が入り込んでいるが、競合となる欧米のポンプメーカーも品質を見込まれて売り上げを伸ばしている。日本ブランドへの信頼は厚く、当社製品にも興味を持ってもらえるため、やりがいのある市場だという印象を受けた。建設業界も順調に伸びていると感じ、主要な輸出品目の金の鉱山向けの製品についても関心がある。

(問)今後の展望は。

(答)競合他社より先に市場へ参入し、ブランドを構築してシェアを獲得することが重要だ。ガーナのポンプ市場は2000年ごろのベトナムに似ていると感じる。短期的な成長というより、10年後の成長を見据えてまずは足場を固めていきたい。

(問)最後に一言。

(答)ガーナは国単体の市場規模は大きくはないが、可能性の高い市場だと出張を通じてあらためて実感した。また、多数の日系自動車メーカーによる組み立て開始は、今後、西アフリカの拠点として大きく発展していくことを予想させる。ガーナは、政治が安定していて治安も良いため(注)、日本企業にとっては予想以上にプラス要素が多いと思う。遠い地ではあるが、一度早めに見ておいた方が良い国だ。

(注)経済平和研究所(IEP)のグローバル・ピ-ス・インデックス2022PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、ガーナの世界平和度指数はサブサハラアフリカで2番目に位置する。

(関根広亮)

(ガーナ、西アフリカ、日本)

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