植物油やパスタの価格が高騰、インフレ率は再び2桁に

(英国)

ロンドン発

2022年10月31日

英国国家統計局(ONS)は10月25日、2021年4月から2022年9月までの食料品価格の分析を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注1)。前回(5月)(2022年6月6日記事参照)と同様、大手スーパーマーケット7社のオンラインサイトで販売されている30品目の日用食料品・飲料を対象に、各商品の最安値の相場を分析した(注2)。

2022年9月の最低価格は前年同月から17%上昇し、ONSが10月19日に発表した9月の食品・非アルコール飲料のインフレ率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(14.6%)を上回った。2022年4月からは9%上昇した。2022年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率も前年同月比10.1%と、7月に続き2桁になった。

30品目中、15品目の価格は15%以上値上がりした。植物油は2022年9月に前年同月比65%増〔1リットル当たり102ペンス(約172円、1ポンド=100ペンス、1ポンド=約169円)増加〕、パスタは60%増(500グラム当たり23ペンス増)、紅茶は46%増(125グラム当たり30ペンス増)と特に上昇率が大きかった。食料品の価格上昇は、ロシアの侵攻によってウクライナからの穀物、石油、肥料の供給が妨げられたことで加速している(「BBC」10月25日)。

英国調査会社カンターの10月11日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同じ商品を購入し続ける場合、一般的な家庭の年間の食費は643ポンド(13.9%)増える。また、10月のブランド品の売り上げは前年同月比0.7%減少の一方、スーパーマーケットのプライベートブランド(PB)商品の売り上げは8.1%の増加。さらに、スロークッカー、エアフライヤー、サンドイッチメーカーなど、消費電力の少ない調理器具の売り上げが増加しているとした。

クリスマス商戦を前倒しで開始

市場調査会社QuMindによると、英国の約6割が2022年のクリスマスシーズンの支出を減らし、うち10人に1人は支出を半分以上減らす予定だ。

10月12日付ブルームバーグによれば、英国では例年より早くクリスマス商戦が始まっている。英国百貨店大手ジョン・ルイスは9月末にオンライン注文の最低金額を撤廃し、12月24日までに購入した商品については2023年1月末まで交換・返品を可能とするクリスマス期間の返品規定の適用を開始している。英国スーパーマーケットチェーンのアイスランドは、2022年8月に同店のカードに100ポンドをチャージすると、11月下旬に15ポンドが付与されるキャンペーンを実施した。

(注1)ロンドンの農林水産物・食品市場価格についてはジェトロ「海外マーケティング基礎情報(2022年)」も参照。

(注2)各社のウェブサイトの価格を基に分析し、店頭価格、売り上げなどは考慮されていない。

(島村英莉)

(英国)

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